分析を実行に落とし込む、ゾクセイの活用
いずれにせよ、こうした「重要顧客」の基準を設定した上で、適切な営業人員を配置しよう、と考えていくわけですが、そうすると、営業人員もセグメントに分けて行くことが求められます。ここでもゾクセイの出番です。
重要な顧客は、優秀な営業人員に担当させたい、と考えるのは極めて普通のことです。しかしながら、「優秀」の定義も、いろいろあります。従って、「定義した重要顧客の特性に合う営業担当」を探し当てることを検討する必要があります。
先ほどの定義では、重要顧客は「自社が売りたい商品Aを購入し、且つ、その他にもいろいろな商品を取引してくれている関係性が深い会社であり、さらに、利益をしっかりとれるお客様」でしたので、それに照らし合わせると、「フィットする営業の条件」は、
- 自社の強み(品質の高さなど)について知識がある
- 特定商品に限らない、幅広い商品知識がある
- 顧客の要望を捉えて、提案できる(取引領域の拡大余地を探れる)
などが考えられます。
これを、ゾクセイで捉え直すと、
- ゾクセイA)上司からの評価において「値引きに頼らない」のスコアが高い
- ゾクセイB)複数の商品に関する社内資格を保有している
- ゾクセイC)顧客満足度調査の「提案力」において、高い評価を得ている
といった形で表現することができます。
当然ながら、上司からの評価、社内資格、顧客満足度調査などを行っていなければ、こうした定量的なゾクセイ化はできません。その場合は、上司に対して上述した「フィットする営業の条件」を伝えて適切な営業人員を選定してもらうなどの方法を取るのが現実的です。しかし、中長期的に勝てる組織を作り上げていこうと考える場合は、何かしらの「客観的で定量的な評価方法」を設定していくことが望ましいと言えます。
定量的であれ、定性的であれ、このような考え方に基づいて「関係性を維持しつつ、さらなる取引拡大を目指せる営業」を選定し、重要顧客を担当させていくことが、ゾクセイを用いた「企画のDI」の推進イメージです。
「企画のDI」の考え方とは
「企画のDI」は、少人数の人が試行錯誤を繰り返しながら考え続けることが主目的となります。先ほどの架空ケースでは、重要顧客を決める、担当すべき営業人員を決めるというお話ですから、営業責任者および営業企画部が判断することになると考えられます。
また、先ほどは重要顧客に対する担当営業を決めるという、狭い範囲でのお話でしたが、エリアごとの担当を決めたり、商品毎の担当を決めたりしていくことも必要になります。当然ながら、それぞれの領域の必要人員数を設計することも求められるでしょう。
そのような場合には、固定的な仕組みを作っていくよりも、知りたいこと、考えたいことに合わせて、アドホックな分析を行っていく方が良いでしょう。
柔軟な分析が可能なデータセットを作成し、自在に分析できるデータ人材を用意することが望ましいと言えます。
次回は「現場のDI」をご紹介します。