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人間が主役のデータインフォームド経営とは

「ゾクセイ(属性)」で分析する、企画業務におけるData-Informedの実務と考え方とは?

第4回

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顧客に対しての「重要度」という概念

 ここまでくると、顧客に対して「重要度」の概念を持ち込む必要があります。すべての顧客のすべての事情を考慮しながら、同じように手厚く対応するということは不可能だからです。もちろん多くの場合、各社それぞれの定義に従って「重要顧客」は定義されています。

 しかしながら、重要顧客と定義したセグメントが本当に高い収益貢献をしているのか、などという部分まで踏み込めていないケースも散見されます。何年も前に設定された閾値や、お付き合いの長さなどで「重要」と定義してしまっていたりします。

 それに対して、

  • 収益貢献の高い顧客の特徴は何か(例:1回あたりロットの大きさ、紹介ルート……など)
  • そういう顧客に育つためのきっかけ・経路は何か(例:特定商品の購買有無、特定イベントへの参加 …など)

などをデータから検証していくことは、戦略検討上極めて有用です。そうすることで、RFM(Recency/Frequency/Monetary)などでの単純セグメンテーションだけでは見えなかった「重要顧客」「重要顧客予備軍」などをあぶりだすことが可能となります。

 このような情報を基にして、「どのエリアに、どれくらいの営業人員を配置するのか」「どの営業担当者に、どの顧客を担当させるのか」「どういう基準で、各顧客へのアタック方法・アタックタイミングを見極めるか」などを決定していくのが、「企画のDI」の基本動作です。

 なお、お気づきの通り、このような方針・戦略は、データから一意に導出されるものではありません。また、特定の分析手法によって、正解が出てくるというものでもありません。取り扱い商材の性質(耐久消費財か日用消費財か、乗り換え容易性が高いか低いか、など)、組織・人材の制約(転勤不可、など)、顧客の種別(大手が多いか、中小企業が多いか、など)のような、各社各様の事情に鑑みながら、「何をもって“重要顧客”と定義するか」「どういう予兆ならば、アクションに活かせるか」などを見極めていく必要があります。

 また、こういう企画系の業務は、一度決めたからそれでOKということにもなりにくい領域です。定期的・継続的に再検討を重ね、そのときそのときの状況に合わせて、より良い方針を導き出していく必要があります。

 上述したような考え方に基づいてデータ分析に実現する際に「ゾクセイ」を用いることが極めて有用です。

 例えば、重要顧客を定義するにあたっては、

  • ゾクセイ1)直近3年間で、主力商品Aの購入実績がある
  • ゾクセイ2)直近1年間で、購入商品カテゴリが〇種類以上
  • ゾクセイ3)直近1年間の総値引き率が X% を下回る

という3つの条件を満たしていること、などといった設定を行うケースが考えられます。

 単に、取引金額が大きいとか、取引年数が長いとかいうことでセグメントを切ることも可能ですが、そうした条件で顧客を分類すると「事業規模が大きい顧客」「歴史の長い企業」を重要であると評価してしまう可能性があります。

 しかしながら、あなたの会社にとって重要な顧客を考えるのであれば、「自社が“売りたい”商品を評価してくれている」「特定の商品だけでなく、関連する色々な商品を購入してくれている」「しっかりと利益が確保できる形で取引を行ってくれている」というような基準が設定されてしかるべきです。

 以降、もう少し、重要顧客の定義における「ゾクセイ」の活用に関して、掘り下げて考えてみましょう。

次のページ
重要顧客の定義から考える「ゾクセイの活用」

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この記事の著者

田中 耕比古(タナカ タガヒコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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