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ESGが競争優位になる時代の知財を活かした経営──投資家が求める知財情報の開示とその範囲とは?

PatentSight Summit 2024 レポート Vol.1

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知財部門が投資家に伝えたいこと、投資家が知財部門に伝えたいこと

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齋藤:ここからはざっくばらんに投資家や事業会社の知財部門の方に伝えたいことをお話しいただければと思います。まずは竹口さん、いかがでしょうか。

竹口:これまでは競合他社や取引先にどう向き合うかばかり考えてきましたが、投資家目線で収益をいかに上げるかをシビアに見るという視点が得られて、今日はとてもありがたい機会でした。

 まず投資家の方々にお伝えしたいのは、知財は収益化するのに時間がかかるということです。ウェブサイトに知財情報を開示していると先ほどお伝えしましたが、それで協業が始まった事例があります。その特許自体は2009年ごろに出願し、協業が始まったのが2020年前後です。そしてビジネスになりそうなのが2025年以降という状態なのです。特許がそろそろ切れてしまうのでは、と思うほど時間がかかるんですね。それを投資家の方にご理解いただけたらありがたいと思いました。

齋藤:ありがとうございます。奥田さんはいかがでしょうか。

奥田:投資家の皆さんにご理解いただきたいので、もっと知財情報を開示したいところはあるのですが、あまりに開示し過ぎてしまうと競合優位性が保てなくなってしまうんですね。こちらもなるべく投資家の方々に歩み寄って、競合との関係性の中で苦しみながらなんとか可能な限り情報を開示していきます。

齋藤:澤嶋さんはいかがでしょうか。

澤嶋:たしかに情報開示は非常に難しいものですよね。投資家も全ての情報を開示してほしいと思っているわけではないのです。投資をしている会社が不利になるようなこと、競合に塩を送るようなことは投資家も望んでいないということは前提としてください。そのうえで、株主ならどういうことを考えるだろうかと意識しながら知財の業務に関わっていただけるとありがたいですね。アナリストは企業からの情報だけに頼らず、様々に得られる情報をいかに有効活用するかが問われるのですが、企業が出せる情報をちゃんと出していただいているかは問いかけたいです。

 今は知財をもっと有効活用し、経営に活かしていこうという動きがあります。こういった取り組みがなされることによって、収益力、成長力が上がるだろうと期待できますから、その内容は紹介いただきたいです。また、竹口さんがおっしゃっていたような実績や、同様のことを起こす仕組み自体に関しては開示いただけると思います。また私たちは経営者やIR部門の方々に「知財部の方々にお話をお聞きしたい」と言いつづけていきます。ですから、知財部の方々はぜひ経営者やIRの方々と緊密に連携していただければと思いますね。

齋藤:ありがとうございます。社内で知財部の方々がコミュニケーションを図ることが、ひいては外部の投資家の方々、ステークホルダーの方々に通じていくのですね。本日は非常に有意義なお話が聞けたことに感謝いたします。どうもありがとうございました。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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