ネスレにおける事業開発とエフェクチュエーションの関係
吉田氏は、島川氏が提示したいずれのケースも、非常に良いエフェクチュエーションの事例だと評した。例えば吉田氏は、「3 Coffee a Day」キャンペーンにおいて、石川氏との間をつなぐ知人の存在が「手中の鳥」であったこと、取り組みを面白がってくれるパートナーが現れて活動が広がっていったことなどに注目した。
「エフェクチュエーションのプロセスでは、『こんな成果が出ますから、そのために協力してください』みたいな無理やりなことはしないんです。むしろ、全然違うことに関心を持っているかもしれない相手が自発的に参加してくれて、どうやって意味のある未来を一緒に作っていけるのかを描いていくことがすごく大事だと言われています。
島川さんあるいはネスレさんは、まさにそれをやっています。相手をリソースとして利用する関係ではなく、お互いにとって意味のあるコーヒーの価値を見つけていき、かつネスレさんはそれをサポートする立場で関わっている。だからこそ、相手が主体的に『自分はどういうことができるのか』と行動を発揮してくださるようなところが、素晴らしい実践例だったと思います」(吉田氏)
エフェクチュエーションとコーゼーションをいかに使い分けるか
続いて議論のテーマは「エフェクチュエーションとコーゼーションをいかに使い分け、大企業のビジネスを成長させるか」に移った。