SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

Biz/Zineセミナーレポート (AD)

北欧流デジタルプロダクト開発──フィンランド発のReaktorが紹介するデータ活用“3つのポイント”

登壇者:Reaktor Japan株式会社 Risa氏、Winkel Chelsey氏

  • Facebook
  • X
  • Pocket

データはあくまで「過去の計測結果」

 次のポイントは、「データは万能薬ではない」という視点である。ウィンケル氏は、データは重要な判断材料ではあるが、文脈や解釈を加え、他の視点と組み合わせる必要があると話す。特に新しいプロダクトの開発では、過去のデータに頼りすぎず、試行錯誤を重ねるプロセスが欠かせないと述べた。

Reaktor Japan株式会社 Product Designer Winkel Chelsey氏
Reaktor Japan株式会社 Product Designer Winkel Chelsey氏

 その理由として、ウィンケル氏はまず、データは「過去の」「計測可能な」情報に限られる点を指摘する。

 まず、データはあくまでも「過去の計測結果」にすぎない。そのため、未来の予測に活用するのには限界がある。特に、新しいサービスやプロダクトの開発では、過去のデータだけでは対応できない未知の要素が多いため、柔軟なアプローチが求められる。

クリックすると拡大します

 また、数値化された情報のみでなく、顧客の意見や現場の体験といった定性的なデータも併用することが不可欠だと指摘。定量的な数値だけでは、印象や感情などの価値ある情報を見落とす可能性がある。定性データは共有しづらいという欠点があるが、うまく活用できれば、品質向上に大きく寄与できる。

 そうしたデータの限界を踏まえた上で、重要なのは、試行錯誤を重ねることである。新しい試みがうまく機能するか、あるいはユーザーに価値を認めてもらえるかどうかは、検証を通してしか分かりえない。プロセスのなかでデータを取得していくことが鍵となるのだ。

 「既存のデータだけに頼って、リソースや時間を多く投資する前に、一度試してみて、何が効果的なのか、実際にどれくらいの価値につながるのか、を検証しながら進めることが大切だ」とウィンケル氏は指摘する。

 事例として、航空会社フィンエアーの機内エンターテインメントシステムの改善プロジェクトが紹介された。既存のシステムは、一度インストールするとあまりアップデートを行えない状態だったため、最新の情報がすぐに提供できる形にするために、システムのデザインと開発を担当したという。

 海を越えたクライアントとのプロジェクトが、十分なデータがない状態でスタートしたため、チームは、急遽ハードウェアをオフィスへと取り寄せた。オフィス内にエンターテインメントシステムをセットアップした上で、実機で試行錯誤をしながら開発を進めたのだという。その過程で、レスポンスの遅延度合いなどの重要な情報や、タップ回数が増えると腕が疲れてしまうといった予期せぬ課題を、体験を通して理解でき、改善につなげられたと同氏は話す。

 未来志向のプロダクト開発には、「まずは試す」という姿勢が不可欠であるとウィンケル氏は述べる。小さな試みを積み重ねることで、最終的には質の高いユーザー体験の実現につながるのだ。過去の定量、定性データを踏まえ、試行錯誤のなかでデータを集め、新たな洞察を得ていくアプローチが重要だとまとめた。

次のページ
試行錯誤なくして成功はない

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
関連リンク
Biz/Zineセミナーレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Reaktor Japan株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング