イノベーションに標準化や再現性を求めてはいけないのか?
宇田川:僕の講演でよく話すのが、世界で初めて発見された抗生物質であるペニシリンの話です。フレミングというイギリスの研究者がたまたま発見するんですけど、それは彼がちょっと変人で、研究室が汚かったかららしいんですよ。
その研究はイギリスでは形にならず、アメリカの研究者が注目したことでアメリカの大学で研究が進みました。そこにさらにファイザーの研究者が目をつけ、苦労して大量生産を可能にしました。それを1944年のノルマンディー上陸作戦のときの連合軍が携行したことで、多くの兵士の命を救うことになったし、その後の人類の健康に劇的な貢献を果たしましたよね。