小野塚氏が挙げる2025年の注目トピック
真畑:物流やサプライチェーンに関する、2025年のホットトピックは何だと思われますか。
小野塚:国際輸送では、海上輸送で潮目が変わると見ています。紅海やパナマ運河の問題があり、グローバルサプライチェーンの混乱が続いた結果、海上輸送の運賃は高騰しました。しかし2025年は、かつてないほどコンテナ船の船腹量が増えると想定されています。つまり、運賃が一気に下がる可能性がある。海運会社はいかに収益を確保するか、これまで以上に対策が求められるでしょうし、もしかすると業界内での企業再編、グループ化が進んでいくかもしれません。
国内輸送では、多重下請け構造の是正が大きなトピックとなるでしょう。2025年4月1日以降、元請となる一般貨物自動車運送事業者に対して、実運送事業者の名称などを記載した実運送体制管理簿の作成が義務付けられる新制度が施行される予定です。また、全日本トラック協会は、多重下請け構造の解消を図るため、運送業の下請けを2次までと制限する提言を出しています。業界団体が主導しているので、これは浸透する可能性があると見ています。
こうした取り組みの過程で一時的には大混乱があるかもしれませんが、フラットな業界構造に生まれ変わり中抜きがなくなるため、一人のトラックドライバーさんからすれば給与は増えるはずです。すると国内の運送業界は、いきなりホワイトとはいわないまでも、ブラックな労働環境から脱せられるのではないかと。
一方、トラック会社の統廃合も進むでしょう。その結果、ドライバーが大手企業に集まったり、生き残った会社がアライアンスを組んで仕事を受けたりするような動きが生まれるかもしれません。日本の運送事業者は6万数千社あるとされていますが、いつまでもその状況は続かないのではないでしょうか。
真畑:2025年は荷主企業、物流会社いずれにとっても大きな変革に向けた一年になりそうですね。本日はありがとうございました。