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経営戦略としてのサプライチェーン変革

ローランド ・ ベルガー小野塚氏が語る、サプライチェーン領域の現状と2025年の展望

ゲスト:ローランド ・ ベルガー 小野塚征志氏

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荷主企業と物流会社、双方にとって“過渡期”である

真畑皓氏(以下、真畑):まずは小野塚さんが現在、サプライチェーンやロジスティクスの領域でどのような活動をされているかご紹介いただけますか。

小野塚征志(以下、小野塚):戦略系コンサルティングファームのローランド・ベルガーで、サプライチェーン・ロジスティクス領域での経営支援を担当しています。対象となる会社は大きく2つあり、1つは製造業や小売、流通といった各業界における荷主の会社です。「サプライチェーンを最適化したい」「物流費をなるべく上げないようにしたい」「コスト競争力を強化したい」といったオーダーをもとに改革を支援しています。

 もう1つは、物流会社です。5年、10年先を見据えたビジネスモデルの進化を促す長期的なビジョンの作成を多く手掛けていますが、最近はDX戦略の策定やサステナビリティの推進といったテーマでの支援も増えています。コンサルティング会社の人間として、お客様の経営課題を解決する役割を担っています。

真畑:荷主企業と物流会社双方を見てきた小野塚さんは、日本のサプライチェーンや物流領域の現状をどのように捉えていらっしゃいますか。

小野塚:荷主企業と物流会社の双方にとって“過渡期”にあると感じています。荷主企業にとっては、2026年からの物流統括管理者(CLO)の選任義務化、「2024年問題」に端を発するトラックドライバーの人件費上昇、ウクライナでの戦争や紅海の治安悪化などの問題をはじめとした海外情勢に起因するグローバルサプライチェーンの不安定化という問題があります。大きな意思決定を間違うと収益力や成長性を損なうような状況になるかもしれず、サプライチェーンがより重要な経営課題になっています。

 一方の物流会社も、荷主企業と同様に運賃が上がっています。物流会社からすると売り上げが増えていると見ることもできるかもしれませんが、人件費も上昇し、結局はコストも上がっているのが現状です。加えて、ロボットをいち早く導入するなど、人員をかけずに出荷・輸送できるようにするための投資が大切になります。変革期を迎えていると思いますし、ビジネスモデルを先んじて大きく変えられた会社が勝ち残り、それ以外の会社は淘汰されていく可能性が高まっているのではないでしょうか。

真畑:「2024年問題」は2025年に本格化するとのことですが、詳しくお話しいただけますか。

小野塚:トラックドライバーの時間外労働の上限規制は、2024年4月1日から適用されています。4月1日を起算日とする会社であれば、2025年3月末までが年間の上限規制の対象となります。2025年1月から3月は、時間外労働をより厳格に管理する必要があるでしょう。1月1日を起算日とする会社は、2025年にはじめて12ヶ月間での適用を受けることになります。

 さらに統計上、トラックドライバーは毎年2%ずつ減っており、この傾向は2026年以降も続く見込みです。年単位の長い目で見た対策を打つ必要があります。

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「2024年問題」解決の鍵を握るのは荷主企業

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