カテゴリー浸透の鍵となった動画コンテンツ
──「不動産オーナーデータ」というカテゴリーに狙いを定めたあと、具体的にどのような施策を展開されたのでしょうか。
田岡:特に注力したのは動画コンテンツを起点としたブランディングです。ビジネスメディアの「PIVOT」への出演のほか、顧客対談動画コンテンツ、デジタル動画広告、ショート動画広告なども制作し、サービスの想起拡大を図りました。
動画コンテンツへ注力したのは、「R.E.DATA(リデータ)」の利点を最も効果的に訴求できるのが動画だと考えたからです。「R.E.DATA(リデータ)」は、データベースの充実さもさることながら、システムの操作性やGoogleマップとの連携など、実際に利用しないと伝わらない魅力が少なくありません。

私も初めてプロダクトを体験した際に、データベースからGoogleマップ、実画像までシームレスに使えるデモを見た瞬間に、「これは革新的だ」と驚きを覚えました。そうした圧倒的な価値を感じる瞬間をより多くの層に届けるのに、動画は最適なコンテンツ形式でした。
寺尾:PIVOTの動画コンテンツ、デジタル広告、ショート動画広告の制作・運用のディレクションは、私がTRUSTARTの皆さんと協力して進めましたが、非常にスムーズでした。事前にWHOとWHATを詳細に定義していたことで、コンテンツで訴求すべき内容や優先順位が明確でした。このように、戦略から一気通貫して、コンテンツや営業資料を制作しやすくなる点も、カテゴリー戦略の利点だと思います。
大江:それは私も実感しています。以前は「この層にも届けたい」「あの層にも刺さるように」と、様々なターゲットの顔が思い浮かび、コンテンツ企画・制作がなかなか進まないこともありました。しかし今ではコアターゲットが明確なので、情報の取捨選択が容易になり、営業資料やコンテンツの制作で迷うことはありません。
実は、PIVOTへの出演はあまり乗り気ではありませんでした。しかし、実際に出演してみると反響は極めて大きく、何よりサービスの浸透度が桁違いに変わりました。指名検索数も4倍ほどに急増しました。商談前にお客様に動画のURLをお送りすると、多くの方が事前に視聴してくださり、サービスの基礎知識がある状態で提案を始められます。既存のお客様からも「PIVOT見たよ」と声をかけられることが増えたと、メンバーからも聞いています。
不動産関連企業は全国に40万社あると言われています。そのすべてに対面でリーチするのは現実的ではありません。一方で、不動産業界には情報のアンテナが高く、意欲的な経営者の方が多くいらっしゃいます。そうした層に広く認知を得る上でも、動画コンテンツは非常に有効でした。

カテゴリー戦略の成功で、事業は新たなフェーズへ
──カテゴリー戦略を実行したことで、どのような成果が得られましたか。
大江:定量的な成果は明確に出ています。susworkとご一緒してから、新規の月間商談件数は約2.1倍、新規受注件数は約1.5倍に伸びました。当社は毎年200%成長を続けていますが、2025年度も達成できる見込みです。
また、定性的な成果としては「事業戦略の土台」を構築できたことが大きいと感じています。従来はマーケティングやブランディングが未着手だったため、どの程度の予算を投下すれば、どのくらいの成果が得られるのか、見当もつかない状態でした。しかし、現在では勝ち筋をいくつか見つけられたことで、実績を元にROIなどを予測しながら、積極的な投資判断を検討できるようになりました。susworkの支援は、当社に事業戦略の土台を築き、事業を次のフェーズに進めてくれたと確信しています。
──それでは最後に、今後の展望についてお聞かせください。
大江:「不動産オーナーデータ」というカテゴリーを、より啓蒙し、拡張していきたいと考えています。不動産業界のバリューチェーンは、仕入れから販売まで様々なプロセスが存在します。それは言い換えれば、それぞれのプロセスにビジネスチャンスが潜んでいるということです。「R.E.DATA(リデータ)」と生成AIなどの新技術を組み合わせれば、不動産業界のバリューチェーンに幅広くサービスを展開することも可能だと考えているので、その方向で事業を伸ばしていきたいです。
寺尾:大江さんは以前出演された動画で「まだ実現したいことの1割もできていない」とおっしゃっていましたね。私たちとしては、その壮大な構想を、今後も戦略と実行の両面からご支援していきたいと思っています。
田岡:スタートアップにせよ新規事業にせよ、並々ならぬ思いで事業に臨んでいる方が少なくありません。大江さんも、まさにそのお一人です。事業をグロースさせる上で、その強烈な思いや原体験は、何物にも代えがたい武器になります。
ただし、その思いをいかに市場やユーザーに届けるかは、新規事業にとって避けては通れない課題です。特に、製品やサービスが革新的であればあるほど、価値を訴求するハードルは高くなります。そうした壁を乗り越えるための一つの解として、カテゴリー戦略をより多くの方に知っていただきたいと願っています。
カテゴリー戦略の無料相談・壁打ちできます!
本記事をお読みの大手企業様で、既存事業の更なる成長・新規事業の立ち上げに課題をお持ちの方は、無料でカテゴリー戦略の壁打ち相談を実施しています。お気軽にsuswork公式サイトからお問い合わせください。