塩野義製薬と日立製作所(以下、日立)は、データと生成AIなどを活用した医薬品・ヘルスケア業界向けサービス創出に向けた、業務提携に関する基本合意書を締結した。
同提携は両社が、他の企業との連携によるオープンイノベーションで、実証を通じて創出する新たなDXサービスを、幅広い医薬品・ヘルスケア業界の企業向けに提供していくことを目指すもの。具体的な内容は次のとおり。
①医薬品・ヘルスケア業界におけるMDMの高度化と普及
DXを推進するうえで、データの一貫性や整合性を確保するためのマスターデータマネジメント(以下、MDM)システムの整備は極めて重要だという。医薬品・ヘルスケア業界では、社内の各部門間でデータが分散、サイロ化、複雑化しており、効率的なデータ活用の障壁となるといった課題が見られるとしている。
そこで、日立のマスターデータモデリングやマスターデータエンジニアリングの技術、マスターデータガバナンスの経験と、塩野義製薬のデータベースの設計思想、アルゴリズム構築力やデータ解析技術、そしてドメインナレッジを融合させたMDMシステムを構築し、実証する。さらに、両社はその構築により得たノウハウを、医薬品・ヘルスケア業界全体に普及させることを目指すと述べる。
②生成AIを活用した医薬品・ヘルスケア企業の業務効率化
生成AI技術を活用した、医薬品・ヘルスケア企業における業務効率化ソリューションを検討。具体的には、日立のHitachi Digital Solution for Pharmaのソリューション群をはじめとする、創薬バリューチェーンにおける業務プロセスの効率化や精度向上に向けたAI技術・ノウハウと、塩野義製薬のドメインナレッジや人工知能解析プログラマシステムの開発・事業化経験・ノウハウを組み合わせることで、文書作成や業務プロセスを自動化し、製品開発のスピードや運用効率を向上させる仕組みを構築する。これにより、製品開発期間を短縮し、より確実に医薬品を患者に届けることに貢献するという。
③ヘルスデータを活用した健康経営やサステナブル経営を支援するサービスの開発
日立グループの健康サービスに有用なPHR事業の基盤やナレッジ、塩野義製薬のPHRをはじめとするヘルスデータの標準化や活用ノウハウ、アルゴリズムなどの保有知財などのアセットを組み合わせたPHRプラットフォームや企業向け健康経営ソリューションなどにより、企業の健康経営を支援して、労働生産性を向上する新たなヘルスケア、ヘルスアップサービスを開発。特に、職場でのメンタルヘルス対策や従業員のモチベーション向上の支援に注力するという。
また、PHRを活用して従業員個人の健康データを統合的に管理・活用することで、従業員の健康促進や職場環境の改善を実現し、サステナブルな経営モデルを確立することにより、まずは国内でのサービス展開を目指すとしている。
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