IoTは、資力、スキル、アクセス、時間といった障壁を克服する
ウィキペディアによれば、IoTとは「データの収集と交換を可能にする電子機器、ソフトウェア、センサー、ネットワーク結合が組み込まれた物理的な対象物またはモノのネットワーク」と定義されています。注1)
IoTとは技術用語であり、私たちはビジネスモデルという視点からこれを定義し直す必要があります。すなわち、それは「モノを通じた新しいサービスの提供」であり、シェア(または共同消費)と並んで、ビジネスの世界を大きく変えるポテンシャルを秘めたビジネスモデルの新しいパターンであると捉えることができます。
IoTを活用した新規事業を考える際、誰に対して何の価値を提供するのかという顧客価値にまず焦点を当てるべきです。顧客ジョブマップの記事で触れましたが、それは既存の顧客に対して「より良いジョブの履行を可能にする」、「より良い多くのジョブの履行を可能にする」だけでなく、資力、スキル、アクセス、時間といった障壁があるために従来のプロダクトやサービスを雇うことができなかった非顧客に対しても価値を提供できる機会を生みます。例えば、IoTは「遠隔地からジョブを履行する」、シェアは「第三者のリソースを活用してジョブを履行する」といったことが可能になるわけです。
今回は、弊社が主催するワークショップを題材に、IoTキャンバスの活用方法をご紹介していきます。
最初に、身体と健康(例.ウェアラブルデバイス)、家庭と生活(例.スマートホーム)、移動と輸送(スマートカー)、都市と環境(例.スマートシティ)、産業とビジネス(例.インダストリー4.0)という5つの典型的なIoTソリューション活用領域から1つ選択します(図1)。
次に、各々の領域におけるソリューションの概要(例.スマートパーキング、スマートショッピングなど)を決定します。これで、IoTキャンバス作成の準備が整いました。