AI時代のFP&Aに求められる「3つの能力」と組織の育成方針
池側:これからのFP&A人材に求められるスキルや育成方針はどう変化しますか。
島村:AI時代には「事務処理能力」などの従来スキルの価値は低下します。真に価値を持つのは、分析結果から打つべき手を描く企画・提案力と、事業部を行動させる交渉・対話力です。現場の泥臭い視点を理解できる人材が不可欠になります。
照井:当部では以下の「3つの能力」の習得を奨励しています。
- ドメイン知識:業界・事業構造、市場トレンド、競合環境の深い理解
- マーケティング知識:CPA、LTV、CAC回収期間など成長ドライバーの定量解釈・モデル化
- 対話力・アナウンス力:キーマンと対等に議論し信頼関係を築く力
正論を突きつけるだけでは現場は動きません。IT・サービス企業では、「事業知識」と「マーケティング指標の解釈力」があって初めて信頼される参謀となれます。現在、当部には多種多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まり、チーム全体で事業部を強力に支援しています。
関野:ビジネス職であっても、エンジニアと共通言語で話せるスキルの重要性が増しています。データ構造の理解がAI活用や基盤構築の鍵です。
グローバル戦略と非財務価値を見据えた次世代経営パートナーへの進化
池側:グローバル戦略におけるFP&Aの役割をお聞かせください。
島村:当社は、人と人とのつながりが大きな消費を生み出すと考え、この経済圏を「We-Timeエコノミー」と定義し、そのグローバル拡大を掲げています。「家族アルバム みてね」は海外ユーザー比率が4割を超え、「TIPSTAR」のノウハウなどを活かすための豪州PointsBet社の買収など、海外展開を加速させています。
こうした大型M&Aにおいて、FP&Aは買収シナリオの作成やPMI(買収後の統合プロセス)での財務モニタリングを担います。過去の教訓から、現在は買収前から深くコミットし、ガバナンス共通化とカルチャー醸成を徹底しています。
池側:最後に今後のFP&A組織の展望をお聞かせください。
関野:今後はAIによる「複数シナリオの自動生成」や「能動的リスクアラート」を実現し、経営陣が即座に判断できる「経営意思決定OS」の構築を目指します。
照井:FP&Aのゴールは経営を科学し、直感に頼っていた意思決定を再現可能な「技」にすることです。AIによって過去の集計から解放された分、「未来のシナリオ提示」と「現場との対話」に集中し、頼れる参謀組織を作り上げます。
島村:今後は「非財務情報(人的資本、ブランド価値、コミュニティの熱量など)」の可視化が極めて重要になります。非財務の投資がどう財務成果に転換されるかの因果関係を証明する役割をFP&Aが担うべきです。「FP&Aインテリジェンス部」を次世代の経営リーダーを輩出する「登竜門」とし、企業価値向上を牽引してまいります。
池側:高度なデータ活用と現場への情熱が融合した素晴らしい取り組みでした。ありがとうございました。




