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デザイン組織の経営貢献を可視化──一橋大学大学院 鷲田教授が語る「D-KPI」と「ROE」の相関関係

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 2026年6月8日、公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)と一橋大学の包括連携研究プロジェクトによる「デザイン組織KPI調査説明会」が開催された。近年、多くの日本企業が「デザイン経営」の重要性を叫びながらも、その投資対効果を定量的に示せず、長らくブラックボックスとして扱われてきた背景に、本セミナーでは、一橋大学大学院経営管理研究科の鷲田祐一教授が登壇し、国内主要企業20社以上が参加した調査データをもとに、社内デザイン組織のパフォーマンス指標(D-KPI)と、財務指標(ROE)の間に存在する統計的に有意な因果関係を明かした。経理・財務・事業責任者など「非デザインの専門家」の評価から見えてきた、デザインが経営資産へと昇華するメカニズムに迫る。

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日本のインハウスデザイン組織の「2つの源流」

 日本のインハウスのデザイン組織の歴史は、1951年に松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助氏の一声で生まれた「宣伝部意匠課」に遡る。その後、1953年に東芝が「総務部・意匠課」を、1955年に日立家電販売事業部が「意匠研究室」を設置し、同年ソニーが初めてデザイナーを採用するなど、日本の高度経済成長を牽引した大企業はこぞってデザインのインハウス化を進めた。

 鷲田氏は、これらの組織をわかりやすい対比関係として2つのタイプに分類している。

  • 「事業部と経営トップ(広報宣伝)の囲い込み合戦型」:パナソニックやソニーに代表され、組織改編のたびに事業部直属と経営トップ直属を歴史的に行き来してきた特徴を持つ。
  • 「全社組織としての研究・新規事業型」:東芝や日立製作所に代表され、経営の中枢機能として事業部とは独立した中央組織を構え、各事業部と連携を図ってきた特徴を持つ。

なぜデザインと経営の関係はブラックボックスなのか

 事業部の直下で行われるデザイン活動は、商品の色や形を決める「スタイリング職(下流工程)」として利害関係が明確である。しかし、経営トップの直下にデザイン組織を置く真の意義は、これまで量的・客観的に証明されてこなかった。

 米国における標準的な新製品開発プロセス[1]と比較すると、米国では市場参入計画などの下流に位置する「デザイン」とは別に、社長のすぐ傍らで機能する最上流の「デザイン過程」がモデル化されている。アップルのジョナサン・アイブ氏や、ダイソンの創業者ジェームズ・ダイソン氏のように、経営トップと直結したデザイン機能が複数の新カテゴリーを創出してきたのはその典型例だ。

 一方で、多くの日本企業では次のような問題が根強く存在していた。

 「日本企業では『デザイン』はコスト要因と捉えられている。さらに、下流工程でのスタイリング職という意識が強く、上流工程の『デザイン』は研究テーマになってこなかった。ゆえに『デザイン』と企業経営の関係はブラックボックス的であった」と鷲田氏は指摘する。

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資料提供:一橋大学大学院経営管理研究科 鷲田祐一教授/クリックすると拡大します

 上流工程におけるデザインの役割が研究テーマになってこなかったため、「良いデザインがなぜ経営に効くのか」という論理が途中で飛んでしまい、ブラックボックス化していたのである。

[1]グレン・L・アーバン(Glen L. Urban)、ジョン・R・ハウザー、ニキルシュ・ドラキア 著『プロダクトマネジメント:新製品開発のための戦略的マーケティング』(プレジデント社、1989)

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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