「デザイナーによる評価」から「360度評価」へ
海外では、デザイン投資が売上高利益率や総資産利益率を向上させるという研究(Hertenstein et al., 2005)や、デザイン賞の受賞歴がある企業の業績が優れているという研究(Guo, 2010)など、デザインの有効性を検証する先行研究は存在する。しかしこれらはすべて、デザインの専門家が「デザインが良い」と評価した企業をベースにしており、社内の非専門家(経営層や事業部長)によるリアルな評価が反映されていないという課題があった。
この課題を打開するため、鷲田氏が着目したのが、ソニーが社内で実践していた評価フレームワークである。ソニーでは、デザイン組織を「エンドユーザーの評価(満足度やブランドイメージ)」、「組織オペレーションの評価(健全性・効率性)」に加え、デザイン組織を取り囲む社内ステークホルダー(経営陣や事業部長、R&D部門長など)からの「360度評価」という3つの軸で測定していた。
