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デザイン組織の経営貢献を可視化──一橋大学大学院 鷲田教授が語る「D-KPI」と「ROE」の相関関係

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「デザイナーによる評価」から「360度評価」へ

 海外では、デザイン投資が売上高利益率や総資産利益率を向上させるという研究(Hertenstein et al., 2005)や、デザイン賞の受賞歴がある企業の業績が優れているという研究(Guo, 2010)など、デザインの有効性を検証する先行研究は存在する。しかしこれらはすべて、デザインの専門家が「デザインが良い」と評価した企業をベースにしており、社内の非専門家(経営層や事業部長)によるリアルな評価が反映されていないという課題があった。

 この課題を打開するため、鷲田氏が着目したのが、ソニーが社内で実践していた評価フレームワークである。ソニーでは、デザイン組織を「エンドユーザーの評価(満足度やブランドイメージ)」、「組織オペレーションの評価(健全性・効率性)」に加え、デザイン組織を取り囲む社内ステークホルダー(経営陣や事業部長、R&D部門長など)からの「360度評価」という3つの軸で測定していた。

58社におよぶデータから導出された、デザイン組織の「7つの主成分」

 鷲田氏はこのソニーの枠組みをベースに共通のアンケートを用いてパフォーマンスを測定する共同研究プロジェクトを立ち上げた。各企業のデザイン組織が関与した社内ステークホルダーをリストアップし、守秘義務のもとで匿名化されたデータを一橋大学に集約。のべ58社の回答データを主成分分析にかけ、統計的に極めて安定した「デザイン組織のKPI」として7つの成分を導き出した。

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資料提供:一橋大学大学院経営管理研究科 鷲田祐一教授/クリックすると拡大します
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資料提供:一橋大学大学院経営管理研究科 鷲田祐一教授/クリックすると拡大します

 これら7つの成分を用いて、他部署から見たデザイン組織への「総合満足度」を予測する重回帰分析を行ったところ、毎年極めて高い説明力を示すモデルが構築された。

 分析の結果、デザイン組織の評価を支える二本柱は「成分1:対応力、信頼、スピード、コスト(組織としての頑張り指標)」と「成分4:デザインによる商品価値向上(デザインの本業)」であることが判明した。また、これらに次いで「成分3:提案力・情報提供」が毎年着実に数値を伸ばしており、現代のインハウスデザイン組織は、単にオーダーを受けて色や形を作る受け身の組織ではなく、「未来のビジョンや研究テーマを社内に提案する組織」として定着しつつある実態が浮き彫りになった。

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資料提供:一橋大学大学院経営管理研究科 鷲田祐一教授/クリックすると拡大します

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D-KPIの「提案力・情報提供」が翌年のROE向上に直結する

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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