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組織の記憶である「コンテキスト」がAI変革の分水嶺──アトラシアンが描く、人とAIが融和する組織とは

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「全社スケール」を阻む、デジタル化の格差とチェンジマネジメント

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 テーマが組織規模での協働へ移ると、現場展開のリアルな課題が浮き彫りになった。

 KAGの木暮氏は、「組織でスケールさせるには『全員が使う』と決めること、そして『使うと自分にいいことが返ってくる』体験のストーリー作りが不可欠だ」と指摘。

 みずほFGの相原氏も、単発利用から「AIを前提とした開発」への移行期の壁に言及した。

「開発でAIを積極的に使いこなせているのはまだ全体の10%程度。マネジメントが具体的な成功事例を『やってみせる』ことで、広くイメージを共有していく必要があります」(相原氏)

 さらに岩﨑氏は、大前提として「業務のデジタル化(構造化データ化)」そのものが遅れているバックオフィスの現状に危機感を示した。

「データがデジタル化されていなければ、人間がAIのためにデータ入力の準備をするという逆転現象が起きてしまう。まずは間接業務のプロセス自体をデジタル化し、ギャップを埋めることが先決です」(岩﨑氏)

AIネイティブ組織が迎える「AI疲れ」という新たな危機

 「1年後の働き方や組織はどうなっているか」という問いに対し、みずほFGの相原氏は「過去の経験値からAIが自律的にプロジェクト立ち上げを行う世界が、もう1年〜1年半後には来る。変革を加速させなければ取り残される」と、激しい時間軸の圧縮に警鐘を鳴らした。

 この急速な進化の先にある人間の状態について、KAGの木暮氏は「AI疲れ(AIロス)」という課題を提示した。

「調整業務などが自動化される結果、人がやるべき『本質的な判断業務』が凝縮され、むしろめちゃくちゃ忙しくなるはず。現場の心がすり減ってしまうのではないか」(木暮氏)

 この懸念に相原氏も同意し、「人手不足を言い訳にできなくなるからこそ、マネジメントの仕事は『やらないことを決める選択と集中』、そして空いた時間をメンバーのエンゲージメント向上にどう充てるかのデザインになる」と断言する。

「出羽守」を脱し、現場の草の根イノベーションを賞賛する組織文化へ

 カルチャー変容について、LIXILの岩﨑氏はマネジメントが取るべきアクションを提言した。

「最先端企業の事例を出して危機感を煽るだけでは現場は動きません。本当にすべきなのは、現場のメンバーの中に隠れているおもしろいAIの使い方をしている人を見つけ出し、スポットライトを当てて褒め称えることです。草の根の成功体験の横展開こそが近道です」(岩﨑氏)

 アトラシアンの新納氏も、「すでにAIエージェントなしの業務には戻れない状態。マネージャーが明確なビジョンを出し、必然的な動線上にAIを組み込むことが王道だ」とした。

 ディスカッションの締めくくりとして、パネリストからはアトラシアンに対し、「リアルな事業エリアへ直接プロセス改革を訴求できるスーパープラットフォームになってほしい(岩﨑氏)」「チームワークの思想そのものを安心して学べる環境を提供し続けてほしい(相原氏)」といった期待が寄せられた。

 モデレーターの田口氏は、「全社的にオーケストレーションされた形でTeamwork GraphとRovoを活用していくことこそが、企業の競争力を強力なエンジンに乗せる」と総括した。

 AIモデルの性能差が意味を持たなくなる時代、企業の命運は、日々のワークフローに蓄積された「組織の記憶(コンテキスト)」をどれだけ解き放てるかにかかっている。アトラシアンが示した戦略は、その記憶を企業の確固たる原動力へと変える、極めて強力な羅針盤となるだろう。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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