出資したいファンドが良いディールフローを持っているか?
戦略的リターンを追求するのであれば、VCファンドが最先端のスタートアップにどの程度アクセスできているか(優良なディールフローを持っているか)を把握する必要があります。
米国だけでも3,000社を超えるアクティブなVCが存在しますが、資金の大半は既存の著名ファンドに流れ込んでいます。つまり、気鋭のGPが生き残るためには、なぜ優秀な創業者が他の大手ではなく自分たちを選ぶのかという明確な理由がなければなりません。だからこそ、あらゆるGPに対して「あなたたちの『勝つ理由(Right to Win)』は何か?」と問うべきです。
上記の問いは、次の検討ポイントに直結します。「自社と同じ業界のスタートアップに投資するファンドを選ぶ」という一見セオリーどおりの選択には、落とし穴があります。たとえ事業会社と投資先を結びつけるために組成されたファンドであっても、自社を「競合」と見なすスタートアップの創業者に対して、GPが協業を強制することはできません。GPは常に創業者の意向を最優先します。創業者の意思を尊重することがコミュニティ内でのファンドの評判や信頼関係に直結するからです。したがって、出資にコミットする前に「自社がアクセスできない可能性のある投資先」が存在するかどうかを、GPに対して具体的に確認しておくべきです。
共同投資についても、慎重な目を持つ必要があります。「優れたファンドへのアクセス=優れた案件へのアクセス」ではないからです。GPが直接の共同投資を持ちかけてきたら、「なぜそれが自社に回ってきたのか?」を考えなければなりません。それが本当に一級品の案件なら、なぜGPは自らのファンドで抱え込まないのかといった投資構造も確認すべきです。共同投資はしばしば特別目的会社(SPV)を通じて組成されるため、スタートアップの株主名簿に直接名前を連ねることができず、経営陣への直接的なアクセスも持てないケースが多く見られます。目的が「協業」であるなら、直接投資して株主名簿に名を連ねることを目指すべきです。
戦略的リターンは「自社の組織内」で獲得するもの
成功している事業会社に共通しているのは、ファンドから学んだことを活用する「社内実行力」と、そもそもGPにとって無視できない存在である「信頼の重み」を持っていることです。
GPからのインサイトを受け取り、解釈し、素早く行動に移せる組織がなければ、目標は達成できません。だからこそ、戦略的リターンはファンドの中ではなく、自社の組織内で獲得するものなのです。
同時に、企業はGPの関心を得るに値する存在でなければなりません。投資規模が大きく、継続性があり、GPの投資先企業に価値をもたらすLPは、GPにとって無視できない存在となります。最も成功する企業は、ファンド投資を単なる「資金を出す行為」としてではなく、自らの資金と関心がGPにとって本当に重要な意味を持つ「関係構築プロセス」として捉えているのです。
