「ロボット鉗子」で熟練医師にしかできなかった手術をより多くの医師に
津嶋:
開発されたのは「ロボット鉗子」ということですが、それはどんなものでしょうか?
神野:
お腹の手術をするときに、内視鏡と鉗子と呼ばれる直径5mmくらいの器具を差し込んで行う「腹腔鏡下手術」というものがあります。お腹を大きく切らないでできるので、傷が小さく、術後の快復が早いといった利点があるんですね。ただ、高度な医療技術なので医師には訓練が必要です。というのも、普通の鉗子というのは先端にグリッパーが付いていて、外側のハンドルを握ってお腹の中のものをつかむんです。マジックハンドみたいな感じですね。それを内視鏡の画像を見ながらやるので遠近感が分かりづらかったり、手術しやすい姿勢で思い通りの方向にグリッパーを動かすのが難しかったりするわけです。