「ネットワーク型組織」への分岐点は“強烈な危機感”と“新たなリーダーシップ”
宇田川:
日本の企業が抱えている問題というのは、とにかくイノベーションが起こせなくなっているということだと思います。世界的にはこのレポートに書かれているようなトレンドが見られるのに、なかなか変わりません。人事の人も、労働市場がこれだけ売り手市場になっても未だに従来の働き方というものを前提に物事を進めている。この「10のトレンド」の最初に挙げられている「未来型組織」のようなものに、なぜ変わっていけないのでしょうか。
土田:
ここでいう未来型組織とは、いわゆるヒエラルキーの世界ではなく、小さなチームがつながったネットワーク型の組織です。ヒエラルキー型の組織が一番機能するのは、計画があって、それに従って一斉に動いていくような状態の時です。でも今は、よくVUCA(Volatility:変動、Uncertainty:不確実、Complexity:複雑、Ambiguity:曖昧)と言うように先は分からない。仮定や戦略は必要ですが、仮定を確からしくするための調査にものすごくお金と時間をかけるのはナンセンスです。それよりも早くモノを作って、早く市場に出して、早くお客さんのフィードバックを受ける。リスクを抑えて小さく始め、それを急激に拡大することで、むしろスピーディに大きな成果を収めるのがこれからのビジネスのやり方だと言ったのが、エリック・リースの『リーン・スタートアップ』です。あれをやろうとすると、小さなチームという形になるんですね。