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共創し学習する新しい組織論

生物学者が優秀な経営学者?──経営に「ゴキブリの脳は2つ」という知識が必要な理由

鼎談ゲスト:コーン・フェリー・ヘイグループ株式会社シニアクライアントパートナー 山口 周氏 vol.4

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 本シリーズでは、2007年の創業時から新しい経営方法を追求してきたダイヤモンドメディア株式会社の武井浩三代表取締役と、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行う宇田川元一氏(埼玉大学 准教授)が、これからの組織とそこに近づく方法について様々な方と語り合う。今回は著書、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』が話題の山口周氏を迎えた。全4回シリーズの最後となる本編では、未来の組織のあり方や、そこに向けて美意識をどう鍛えていくかについて話し合った。

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反脆弱性が重要な時代、500年後に「大企業」はあるか

山口(コーン・フェリー・ヘイグループ株式会社シニアクライアントパートナー)
 反脆弱的(アンチフラジャイル)な組織がどうしたらできるのかという時、僕がよく考えるのは、25世紀や26世紀に1万人とか10万人の規模の会社はあるんだろうか? ということです。武井さんがおっしゃっているような、多数決をとらず、みんなの同意でそれぞれの報酬が決まっていくような運営の仕方って、1万人の会社ではできないような気がするんですね。歴史的に見ても、ローマの百人部隊は100人単位のユニットを束ねるという形だし、霊長類の研究家はボス猿が管理できるコミュニティは大体70匹くらいだといいます。10万人の会社というのは19世紀にはなくて、20世紀が生み出した産物ですけれど、今後も残り続けるのか、経営学者としてはどう考えますか?

宇田川(埼玉大学 人文社会科学研究科 准教授)
 400から500年後のことですよね。その場合、間違いなく会社は小さくなると思います。逆に、なぜ会社が大きくならなければいけなかったのかというと、絶対的な要因としては工場が大きいからですよね。ひとつの自動車工場で何千人、何万人も働いているような状態になると、それを管理する組織も巨大になるし、その工場で働く人たちを食べさせるために、営業もものすごい経費をかけてやらなければいけないですから。IT化で変わったかというと、アップルは確かに人が少ないですが、実質的にはホンハイのような別の巨大な会社が製造を担っています。でも、もっと時間が経てば、テクノロジーの進化で工場そのものも変わってくるでしょう。3Dプリンターのお化けみたいなものがでてきて、今とは全く変わってくると思います。

山口
 もっとオンデマンドで作るようになる、といったことですか。

宇田川
 そうです。テクノロジーの面での制約がなくなっていけば、モノを作るということの考え方は変わるでしょう。ただ、美意識との兼ね合いで考えるならば、そういう世界を良いと考えられるかどうかということが課題ですよね。そういう美意識が芽生えなければ、テクノロジーはそっちの方向に進んでいかないので。でも、おそらく300年ぐらい経ったらそうなってくるんじゃないでしょうか。もしかしたら、もっと早くに。

山口
 資本主義というのは構造的に、成長を求めるものですよね?

宇田川
 そうなんですが、今後は富の生み出され方も変わってくるんじゃないでしょうか。例えばInterBrand(インターブランド)が出しているグローバルブランドのランキング「Best Global Brands 2017 Rankings」を見てみると、この20年程でトップ企業が全く変わっています。昔はコカ・コーラなどの企業でしたが、数年前からアップルがトップです。時価総額のランキングも、上位は全部IT企業になっているんですよね。今はアップルも大きい企業ですけれど、今後は稼げるところが必ずしも人を必要としないというふうに変わってくるのだと思います。そうなると、会社はだんだん小さくなっていくでしょう。

タイトル山口 周 氏(コーン・フェリー・ヘイグループ シニア・クライアント・パートナー)
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『天職は寝て待て』など。神奈川県葉山町に在住。

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