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トラリーマンに学ぶ「働き方」

レールから外れたら力の発揮場所をもう一度探せばいい──トラを“絶滅危惧種”にしない幾つかのこと

第3回対談ゲスト 野村総合研究所 未来創発センター 2030年研究室室長 齊藤義明氏:後編

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 日本各地で活躍するトラリーマン(サラリーマンの虎)を発掘し、その働き方・生き方の本質を明らかにする対談連載。前回に引き続いて紹介するのは、野村総合研究所 未来創発センター 2030年研究室室長の齊藤義明氏。地方創生の第一人者としての立ち位置に至った氏ならではの「トラリーマンの流儀」とは? ナビゲーターは、楽天株式会社 楽天大学 学長 仲山進也氏。前回、前々回に続き、全3回の最終回の記事をお届けする。

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「経験は積み重ねるものではなく、積み減らすもの」──経験値があってもゼロから考えるオールドルーキー

齊藤 義明氏(以下、敬称略):仲山さん、歌手の竹原ピストルさんの『オールドルーキー』という歌、ご存知ですか。すごくトラリーマン的な歌詞なんですよ。

仲山 進也氏(以下、敬称略):どんな歌詞ですか?

齊藤:「積み上げてきたもの“で”勝負しても勝てない、積み上げてきたもの“と”勝負しないと勝てない」という感じの歌詞なんです。これ、往々にして、ある程度の年齢までやってきた人にありがちな、自分の過去の実績に頼るという生き方へのアンチテーゼだと思います。それじゃあ世の中では勝てない、というメッセージにハッとさせられました。

オールドルーキー  竹原ピストル

仲山:僕が大好きな岡本太郎さんの言われている「人生は積み重ねではなく、積み減らしだ」と近いですね。

齊藤:トラリーマンってちょっとオールドルーキー的なところがあると思います。それなりに歳を取って経験値もあるんだけれど、覚悟を決めてまた新しいことを始めようとしている。その過程で失敗したり、責められたり、無視されたり、鼻で笑われたりと、いろんなことが当然あるんですけれど、決して世の中にSNSで吠えたりしない(笑)。そこが、若いルーキーとの決定的違いです。

仲山:夜中に「みんなわかってねーよ!」みたいな投稿はしないということですね(笑)。

齊藤:はい。吠えないのがオールドルーキー。黙って負けたふりをする。でも、あくまで“ふり”だから、また様子を見てそろそろと出てくるんですよ(笑)。ちょっとずつやり方を変えながら。そういう打たれ強さがオールドルーキーにはあると思っていて。

仲山:たしかに。マウントされても気にしないとか。

齊藤:体力がものをいうスポーツの世界なら圧倒的に若いルーキーが有利だと思うけれど、ビジネスの世界で一番面白いのはオールドルーキーじゃないですかね。経験値がある人が、ルーキーの気持ちで仕事を始めたら、かなりの存在感になるはず。

仲山前回の「トラが挑む新しい仕事は水平展開しにくい」という話にもつながる気がします。つまり、過去のものと似たようなプロジェクトでもゼロベースで考えることを重視している気がするんです。だって、前にやったときとは環境や前提条件がちょっと変わっているはずだから。経験値もありながら、ゼロから考えることもできる。少なくとも、僕はいつもそういう意識でやっています。

齊藤:常識を知り尽くしながら、常識に挑むみたいな。

仲山:単に以前どうやったか覚えていないというのもありますが(笑)。

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