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他者との関係性から自分が何者かを知る「セルフマネジメント」──適応課題に向き合う「ナラティヴ」とは

ゲスト:トランスフォーム共同代表 稲墻 聡一郎氏、at Will Work 理事 猪熊 真理子氏【前編】

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ドラッカースクール学んだ「マネジメントの本質」──稲墻さんが気づいた「セルフマネジメント」の重要性

宇田川元一さん(以下、敬称略):今度僕たちはBiz/Zine編集部主催で「組織変革のための『ナラティヴ・アプローチ』ワークショップ」という講座を行いますが、ちょっと気になることがあるんですよね。世の中には「傾聴の方法を学びましょう」、「ロジカルシンキングの方法を学びましょう」と、スキルを学ぶような機会はたくさんあるんだけれど、そこには2つ問題があると思うんです。

1つは受講者をそのスキルを持っていない人として設定してしまう点。なんとなく反感を持ちますよね。そしてもう1つは、何かスキルを身につければ何かうまくいうということを、もはや本当はみんな、信じられなくなってきていると思うことなんです。

今までのある種のビジネスエリートというものに求められてきたスキルや在り方は、今の時代でははっきり整理されてわかりやすく提示されているから、多くの人が知っています。知っているのだけれど、しかし実践との間にギャップがあり、このギャップこそがスキルよりも大きな問題として徐々に皆が認識してきているのだと思うのです。

稲墻 聡一郎さん(以下、敬称略):それは本当にそうですね。組織開発や人材開発のためにプログラムやワークショップを行うと、その時はみんな喜ぶのだけれど、結局続かないし問題も解消されていない。スキルを学んだところで、今あるビジネス上の課題は解決しないんですよね。

僕自身も、IT系企業やベンチャー企業で人材育成の仕事をしているうちに、次第に興味の対象が組織開発や人材開発に移ってきたので、かなりの数のワークショップや研修に参加したのですが、全て細分化されていて、マネジメントやリーダーシップを包括的に学べるところがないという印象を持ったんです。同時に、一度海外に出て、今までとは違う価値観で人やものを見るという経験が必要だと思ったこともあって、西海岸にあるドラッカースクールを選びました。

そこで、ピーター・ドラッカーの「まず自分をマネジメントできなければ他者をマネジメントすることなどできない」という、シンプルだけど大事な言葉に真剣に向き合うことができました。つまり、自分の意識がどこに向いていて、それによって自分がこういう発言や行動をしているのだという、自分自身を知る「セルフマネジメント」が最初にあり、それがあって初めて他者(チームや組織)のマネジメントができ、その先に社会のマネジメントがあるのだということがわかったんです。そして、どれか一つのマネジメントに偏らず、3つのマネジメント(セルフマネジメント・他者のマネジメント・社会のマネジメント)のことをバランスよく考える必要があることを学びました。

宇田川:なるほど。スキルが活きるためにはある種の“状況のセッティング”が必要ですよね。つまり、「何かモヤモヤする」「おかしいんじゃないか」という状況のセッティング、言い換えれば「問い」があって、初めてスキルがうまく使えるんです。しかし、多くのワークショップや研修の場合、スキルがあまりにわかりやすく整理されて提示されすぎているために、その「セッティング」「問い」自体に向き合うことを忘れてしまう。ところがドラッカースクールでは、セルフマネジメントによって「問い」自体に向かっているということですね。


稲墻 聡一郎稲墻 聡一郎さん(トランスフォーム合同会社共同代表)
大手IT企業にて法人営業や人材育成を経験した後、IT系の人材育成を行うベンチャー企業役員を経て、2011年に起業。2015年~2017年まで、ロサンゼルス近郊にあるDrucker School of Management(通称:ドラッカースクール)で2年間学び、2017年7月に帰国。同大学院の准教授であり、セルフマネジメント理論研究の第一人者でもあるジェレミー・ハンター博士、および卒業生の藤田 勝利氏と一緒に、トランスフォーム合同会社を2018年1月に設立。セルフマネジメントをベースにしたマネジメントプログラムを提供している。

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