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東京にいて地元の仕事をする「ふるさと副業」という働き方、福岡から。

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「地元愛」を仕事に変えるために

古賀敏幹さん、須賀大介さん、山田聖裕さん

 「地元に貢献したいけど、東京での仕事や生活も大切。そういう人はけっこういるんです」と語るのはリクルートキャリアの古賀敏幹さん。リクルートキャリアで社会人インターンシップや、働きながら社外の成長企業と関わる機会を提供する「サンカク」というサービスを展開する中で、「副業」を世の中に広めようと考えてきた。そうした中で、福岡出身の同僚から「地元福岡を盛りあげたい」という相談を受け「ふるさと副業会議」を企画した。

 「ふるさと副業」というのは、東京などの都市にいながら地元や地方の仕事を副業としておこなうこと。いわば「ふるさと納税」の仕事版だ。最近では、「働き方改革」のもと、副業を認める企業も増えてきている。副収入を得ると同時に、出身地や自分が思い入れのある地方の企業を応援したいというビジネスパーソンに、ひとつの選択肢として投げかけたライフスタイルだ。

 地方の企業にとってみれば、地元での人材獲得が困難という事情もある。「ふるさと副業」なら都会の企業で働く若者の文化、ライフスタイル、技術やマーケティングなどのスキルを取り込めるチャンスにもなる。

 「ふるさと副業」を希望する若者がどのぐらいいるのか、「ふるさと副業」で人を受け入れたい企業がどのぐらいいるのか、未知数だったと古賀さんはいう。しかし募集をおこなったところ、福岡県には、地元への想いを抱く若者と、成長スピードに人材が追いつかないという企業が存在した。そして今回は4つの福岡の企業と、東京で働く80名ほどの福岡に思いを馳せるビジネスパーソンが、東京のリクルートのオフィスでおこなわれた「ふるさと副業会議」に集まった。

 古賀さんは、今回のイベントで「副業に興味のある人が具体的なアクションに至る動機」や「副業で人を受け入れたい企業の強いニーズ」が伝わる企画にしたかったという。

 会場では、地元企業と参加者とのマッチングのためのプレゼンテーションや、テーブル形式でのQ&Aセッション、懇親会などがおこなわれ、継続して、「ふるさと副業」希望者と企業とのマッチングや条件のすりあわせが進められていく。

福岡移住計画 須賀さん「地方に溶け込むための処方箋」

 東京で働いていても、なかなかお金に余裕がない。魅力的な地方の町で、豊かな自然や人とのつながりを求めて生きたいと思う若者は多い。しかし、いざ実行してみるとUターン、Iターンには難しさがともなう。

 「ふるさと副業」の考え方に賛同し、今回のイベントに登壇した福岡移住計画の須賀大介さんも、移住の難しさを身にしみて知っている一人だ。もともと就職氷河期世代だった須賀さんは、Web制作会社を設立し、エンジニアやデザイナーらとともに多拠点型の仕事スタイルを考えていた。6年前に下北沢から家族ともども福岡に移住した。きっかけは2011年の東日本大震災。子供や家族の将来を考えた時、「都市の生活の脆さ」を痛感したのだという。

 須賀さんはもともとは茨城の出身で、福岡には縁はなかった。福岡はよくいわれるように、食べ物は美味しく、中心地から生活区域にもタクシーで低料金で帰ることができる。電車で20分も動けば海も山もある。さらにLCCが発達した今、東京からの航空運賃も安く、空港から中心地も近い。さらに福岡人の気質として、移住者に対して親切だ。

 しかし、それでも須賀さんが福岡のコミュニティに「溶け込む」ためには2年間ぐらいかかったという。土地勘もなく、奥さんの近所づきあいや子育て、仕事の人間関係などの生活環境も一から構築しなければならなかったからだ。

 こうした経験を元に、須賀さんは、「福岡移住計画」をはじめた。福岡市に隣接する「糸島」に、コワーキングスペースを開設し、その後福岡に直営6拠点のコワーキングを開設した。多くのベンチャー企業、フリーランスが集り、大都市からの企業の合宿場としても使われる。現在は月額でこのオフィスを借りる会員は200名にもなるという。

 「九州を中心にして、全国のポテンシャルがある地域にくさびのように、コワーキングスペースを打ち込んでいきたい」とも語る須賀さん。今年は、各都市にひろがった移住計画を繋ぎあわせて、一般社団「みんなの移住計画」を立ち上げる予定だ。住まいや仕事などの情報提供をおこないながら、各地域のワークスペースをつなぎ、潜在拠点である空き家を発掘して滞在可能な形に再生しながら、地域資源と連携させることをテーマにしている。

 移住を支援する須賀さんだが、「ふるさと副業」についても共感しているという。「地方創生と一口に言っても難しい。地方の人材やノウハウだけでは限界がある。ふるさと副業は、東京のマーケットや人材と連携していくことができる良いアイデア」と語る。

リトルフクオカ・DIAGONAL RUN TOKYOの山田さんが語る福岡愛

 「須賀さんと違って僕は移住することを決められず、悶々としていました」と語るのは、山田聖裕さん。NewsPicksやSPEEDAなどの経済情報サービスを開発する株式会社ユーザベースでのコミュニケーション(PR/IR)のマネージャが本業。プライベートでは在京福岡人のコミュニティ「リトルフクオカ」の事務局も務めており、複業として東京・八重洲にある、福岡銀行が手がけるコワーキングスペース「DIAGONAL RUN TOKYO(以後DRT)」の立ち上げにも関わった。(現在は本業と育児に集中するためリトルフクオカ、DRTの活動ともに縮小中とのこと。)

 いつかは地元には帰りたいけど、東京の仕事も好きで続けていたい。そんな「福岡愛」が捨てられなかった山田さんが「福岡飲みがしたい」とFacebookでつぶやいたところ、同じ思いを持った仲間が目黒のもつ鍋屋に集合したのが「リトルフクオカ」のきっかけ。10名程度の飲み会から始まり、現在では1500人が参加するリトルフクオカというコミュニティに育った。福岡企業への転職につながった事例もあるという。

 「ふるさとへの貢献と聞くと、現地にいないとできないと思いがち。しかし、東京で働きながらも現地の架け橋になれる方法があるし、リトルフクオカやDRTもそういう人たちの居場所になれればと思って活動してきた」(山田さん)

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