平安グッドドクターアプリから学ぶ、OMO“4つのポイント”
さらにグッドドクターアプリからは、4つの学びが見えてくる。
まず1つ目は、状況ターゲティングの重要性だ。テレビ広告ではマス、デジタルマーケティングでは属性へのターゲティングが主流だった。一方、グッドドクターアプリは、「子供が病気で困っている親」のように、顧客の状況にターゲティングしている。
2つ目は、モノ起点で効率的な生産と販売に特化するバリューチェーンから、バリュージャーニーへの変換である。バリュージャーニーとは、顧客と自社が作り上げた世界の上を顧客が行動し、接点と体験を増やしていくこと。グッドドクターアプリの場合は、健康不安解消という『コア体験』に、ウォーキングなどのポイントをフックにした『継続接点』がうまく織り込まれることで、企業と顧客との関係が深まっていき信頼関係が生み出されていく。そのような関係性があれば、顧客は保険商品を勧められても、違和感なく検討するのだ。
そして3つ目は、リアルとデジタルの関係にある。
宮坂氏曰く、「OMOは、オフラインをリプレイスするのではなく、使い分ける」こと。そして、一般的なDXに見られやすい「リアルなアセット、物、人、場所の安易なデジタル化」に対し、疑問を投げかけた。
ドクターアプリは、「病院受診に時間がかかるというペインポイントを改善してくれる」という理想の体験をサポートするデジタルサービスだ。さらに、困った状況時にはフォローコールというリアルな体験が加わり、体験は増幅される。「理想的な顧客体験を考え、それを実現するためのデジタルサービスを作る。そして、その体験を増幅させるための装置として、人や物・場所を構築していくことが大切」と、宮坂氏。
最後の4つ目は、データの重要性だ。「タッチポイントを増やし、データ収集に尽力することはもちろんだが、データを活用した体験改善が重要である。体験改善には、状況を読み取るための行動データが重要である」と宮坂氏。“誰が”よりも、“どんなことが起きているか”の状況を知るほうが、顧客の体験に繋げやすく、他社との差別化も生みやすい。