ベテラン・ザッポニアンが語る、ザッポス流「セルフ・オーガニゼーション」が辿り着いた未来の事業構想とは

ザッポス流「セルフ・オーガニゼーション」:後編

 「感動を呼ぶ型破りな顧客サービス」で米国内外のビジネス界に革命をもたらしたネット通販会社のザッポスが、「ホラクラシー」を導入してはや六年が経とうとしている。「ホラクラシー」とそれに続くセルフ・オーガニゼーションはザッポニアン(ザッポス社員)にどんな影響を与えたのか。未来に向けて、ザッポスはどんな展望を抱いているのか。ザッポス・カルチャーの根幹をなすコア・バリューの創成期からザッポスと歩みを共にし、ホラクラシー導入にも中核的存在として関わってきた二人の社員の話を聞いた。インタビューは2019年9月16日に、ザッポス社CEOトニー・シェイ率いるダウンタウン・プロジェクトが投資している複合型施設ゴールド・スパイクのバーにて行なわれた。

[公開日]

[語り手] クリス・ピーク ジーン・マーケル [取材・構成] 石塚しのぶ [写] ダイナ・サーチ [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] タレントマネジメント 企業戦略 ホラクラシー セルフ・オーガニゼーション ザッポス

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ホラクラシーは「仕事」と「役割」と「アカウンタビリティ」を見える化するシステム

石塚しのぶ氏(以下、敬称略):ホラクラシーの導入に携わるようになったきっかけは?

ザッポス 組織デザイン/開発担当ディレクター クリス・ピーク氏(以下、敬称略):トニーがホラクラシーの導入を検討し始めて間もない頃、私はテクノロジー部門でチーム・リーダーを務めていました。しかし、ちょうどここ(ゴールド・スパイクのバー)でトニーの右腕的存在だったフレッド・モスラーとくつろいでいた時に、「ホラクラシーのチームに入らないか」と勧誘されたのです。HR(人事)部門でホラクラシー導入のパイロット・プログラムが開始して三ヶ月後でした。

 私の役割は「ファシリテーターを養成する」ことでした。ホラクラシーでは「ファシリテーター」は非常に重要な役割で、「戦術的(タクティカル)ミーティング」の際に短時間でできるだけ多くのアジェンダを処理できるようメンバーをリードします。優れたファシリテーターの存在がガバナンスの健全性にもつながりますから、ホラクラシーの土台となる要素です。

石塚:ホラクラシーについては誇張や誤った解釈がひとり歩きしているように思えます。もしあなたがひとことで言い表すとするなら、ホラクラシーとはいったい何ですか?

クリス・ピーク:ホラクラシーはツール、組織を自己管理型に変えるための「オペレーティング・システム」のようなものです。もっと詳しくいえば、「仕事(ワーク)」にフォーカスを置いて、組織の中で何が行なわれるべきか、それを透明化します。多くの組織で「仕事」が透明化されていないという問題があります。たとえば、会社に入社して一ヶ月後に、採用された時の業務内容と実際にやっていることが異なる、というのはよくある話です。

 ホラクラシーは「仕事」と「役割(ロール)」とそのアカウンタビリティを見える化します。それを管理するITシステムがありますが、それを見ると、社内の誰が、今、どんな仕事を抱えているのか、何に対してアカウンタビリティがあるのかが明確にわかるようになっています。従って、ホラクラシーは会社で働く各自のアカウンタビリティを最大化する仕組みであるともいえます。

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