SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

濱口 秀司 連続インタビュー

“金の延べ棒”がないと諦める「背任行為」──濱口秀司氏が語る、大企業が成熟市場でやり抜く力とは?

monogoto 濱口 秀司氏インタビュー:第7回

  • Facebook
  • X
  • Pocket

意思決定層が持つ固定化された「常識」を破壊する

──日本企業の新規事業開発やイノベーションにとって、何が強みなのか、そして何が障壁となっているのか。濱口さんどう感じていますか。

monogoto濱口秀司氏(以下、敬称略):障壁になるのは、マインドセットの部分だと思います。それも、日本の大企業では、次長から部長ぐらいまでの意思決定層が、守りに入っているからではないでしょうか。経営層はもうこのままでは行き詰まると思っていてイノベーションに対して前のめりです。若手から中堅までの現場は、結構いろんなアイディアを抱えている。ただ、口にしない人が多いんですよね。その理由は、意思決定層がたいてい企画段階で潰しちゃうんですよ。彼らは決して自分が守りに入っているとは思っていません。自分の「常識の範囲」で考えて、「こんな企画は無理だ」と健全に思っているだけ。悪気なく新しい芽を潰しているんですよね。おそらく本人もユニークなアイディアを考えたとしても、「こんなのはありえない」と思って無意識にブレーキをかけている。

 そうなると、ボトムアップから始めるのは厳しいと思うので、社長や役員などの経営層が環境を作っていくことが大切でしょうね。いい企画を持っている人が勇気を持って企画を出せるようにするためには、実例を作っていくのが一番早いと思うんです。

 成熟した市場では製品もコモディティ化していると思われていますが、しっかり考えれば、新しい市場をつくりだせる。正直、新しい製品がリリースできないのは、「もう新しい企画なんてないだろう」と心の底で思っているからだと思いますよ。「ない」と思っているものが、できるはずがないじゃないですか。だからこそ、コモディティ化している製品ほど大きな事業機会にたどり着く可能性が残っている。実際、市場に胡座をかいているような製品や企業ほど、ひっくり返された際のダメージは大きいでしょう。

 ただし、「ない」と思っていたところに新しい製品が生まれると、「天才だから」「運が良かったから」と言う人もいます。運はともかく、イノベーションは本当に天才にしか生み出せないものでしょうか。もし、それが本当なら、「天才を見つけ出して、気持ちよく働かせて、天才が生み出したものをいかに速く形にするか」が一番の経営戦略になるでしょう。でも、違いますよね。天才を雇えないような小さな組織からもあっと驚くようなものが次々と生み出されています。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
日本の大企業だからこそイノベーションは興しやすい

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
濱口 秀司 連続インタビュー連載記事一覧

もっと読む

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング