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社会人が大学院で研究する意味 (PR)

なぜ都市と企業は「依存」と「らしさの喪失」に陥るのか──社会人が研究で得る「考える力による差異」とは

ゲスト:埼玉大学経済経営系大学院 教授 朴英元氏、准教授 内田 奈芳美氏

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自身の既知と無知を知った上で他者の視点を借りるのが「本質的な学習」

朴英元

宇田川:今、多くの企業が自社のユニークネスを生かした変革、イノベーションを起こしていかなければいけないタイミングにきています。朴先生はどうしたらいいとお考えでしょうか。

朴:今、企業の方々とイノベーション研究会を毎月やっているのですが、その研究会ではイノベーションを基本的に2種類に分けているんですね。1つめは従来の技術を活用するようなイノベーション、もう1つは探索的なイノベーションです。ほとんどの大手企業の方は前者に関してはリソースもあるし、うまくやれているんですね。しかし後者の探索的なイノベーションに関しては、環境変化に対応する能力であり、コア・コンピタンスの議論とも繋がるものなのですが、みなさん自信がないんですよね。

 それを打開するには、採用や評価基準が変わっていく必要があります。とある外資系IT企業の日本法人の方がイノベーション研究会にいらっしゃるんですが、360度評価、目標管理制度(MBO)等、いろいろな評価方法が次々と紹介される中、彼らは人事評価をやめたんだそうです。

 また多くの企業が採用時に評価している基準、いわゆる学業での成績とか知能検査というものが、自社には合っていない場合もあります。ある優れたパフォーマンスを出している日本企業では、採用基準に「早弁をすること」があります。トランプのカードを絵柄ごとに素早く分けられるかを見る企業もあるんですよ。従来のやり方を自社のコア・コンピタンスを考えることなしに当てはめるやり方は、限界にきていると言っても過言ではないでしょう。

 大学院に入学する社会人に対しても同じことが言えると思います。それぞれが自分の理想と考える未来の自分の姿と、自分らしさを考えて現在の研究テーマを選択しようとしている方法論で実現できるかをきちんと考えることが必要なんですよね。そのためには、フィードバックを得ることが重要だと私は考えています。

宇田川:未来の自分の姿と、自分の「らしさ」、研究テーマや方法論が繋がっていなかったとか、実はすごく雑な繋がりだったと気づくのは、指導教員や他の院生との議論を通じてですよね。

 先ほど都市やイノベーション推進に際してコンサルタントに任せてしまうことの危険性を話しましたが、他者の目は必要なものではあるんですよね。フィンランドの教育学者で発達・学習心理学、認知科学にインパクトを与えてきたユーリア・エンゲストロームも「学習は他者の助けやルールなどを媒介にして、社会的に生じる」と言っています。わからないことを把握せずに他者の目だけ借りてもダメなのですが、自分のわかっていることとわかっていないことがあるときに、他者によって越境ができるからこそ学習ができるんですよね。

内田:そうですね。ジェイン・ジェイコブスも、『発展する地域 衰退する地域』で、発展する地域は外から輸入したものをどう置換できるかだと言っています。日本が発展できたのは、単に輸入するだけでなく、自分なりのやり方で付加価値を加えられたからだと。それとも通ずる話ですよね。

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研究は常識を疑い検証する方法を考えるプロセスであり、結果的に得られる「考える力」が差異になる

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