LUSHが“非上場”を選択して、環境経営を行う理由
大山 貴子氏(株式会社fog代表、以下敬称略):LUSHは香りが良く鮮やかな色で、花弁やラメが入った楽しい入浴剤「バスボム」やスキンケアやメイクなどのコスメティック商品などで人気ですが、これらの製品は新鮮でベジタリアンの原材料のみを使って手作りしたものですよね。また、固形石鹸の量り売りをしたり、ネイキッド商品というパッケージの必要のない商品を販売したりもしています。
また、ハンド&ボディローション「チャリティポット」の消費税を除く売り上げの全額を社会課題の解決を目指す草の根の活動団体への寄付に充てること、製品が入っていた容器のリサイクル、気候変動・温暖化に具体的な政策・行動を求める国際的な運動である「グローバル気候マーチ」に賛同するなどのような社会的な取り組みもなさっています。先日は、消費税を除いた売り上げ全額を、オーストラリア森林火災で被害を受けた野生動物の救援や、生息地の回復に取り組む動物救援団体に寄付するというコアラ型ソープの「オール ザ ワイルド シングス ソープ」を売り出し、完売したとして話題を呼びました。
様々な活動をしているラッシュジャパンですが、日本進出から20年以上が経ち、日本国内には84店舗、従業員数1800名を抱えている大きな企業にも関わらず、上場をしていないのですね。
小林 弥生氏(株式会社ラッシュジャパン取締役 リテール・ブランド担当役員、以下敬称略):そうなんです。上場すればキャッシュフローは良くなりますが、LUSHが上場することはないでしょう。企業としての成長や利益をどこまで見込むかに関して、「身の丈にあっているか」を忘れないようにしたいと思いますし、私たちがやることは、私たちで決めたいと思っているからです。
LUSHはもともと、創立者が自宅のキッチンで、敏感肌である自分のために家にあるもので肌に良いソープを作ったことから生まれました。できた製品が良質であったので近所の人にも分けたら喜ばれて、気づいたら今のようなビジネスになった。それがLUSHの前身のコスメ会社でした。そこから基本的に変わっていないんです。
ファミリービジネスの延長で事業を行っているのですからスタッフは家族ですし、家族で知恵を出し合って経営していくほうがよっぽど楽しいし、いろんなアイデアも生まれ、責任も持てるという発想です。
大山:自分たちの方針を家族会議くらいの感覚で決めていきたいということですね。