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“100台しか売らない家電”の戦略的な位置づけ──老舗企業の再創業に向けた、デザイン組織の要件とは?

「デザインが変える、これからの事業、組織、人材」セミナーレポート Vol.2

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低予算で素早く「デザインの力」を証明する“仕組みづくり”

 新規事業として始まったKAIMEN。4年目のいまがあるのは、最初の3年で「約束」通りの結果を残したからだ。世界初の冷凍ごみ箱「CLEAN BOX(クリーンボックス)」と超軽量ホワイトボード「ideaboard(アイデアボード)」の成功がそれ。ここでは前者について紹介する。

 社長付のポジションで、社内の人材もシーズも使わずに、ある意味で自由にやれるのがKAIMENという組織。とはいえ、割り振られた予算をただ闇雲に使っていたのでは、社内的な面目は立たないし、再現性もない。そこで立てたのが、下の図で示す、多産多死の考え方にコストの観点を取り入れた方針だった。上の数字はかける金額、下は個数を示している。

デザインプロトタイプNKC長﨑氏のセミナースライドより

 最初は、予算1万円のプロトタイプを100個作る。10万円なら10個。だから総額でもかかる費用は100万円に抑えられる。小さく作って検証し、ゲートを突破したものだけが次のフェーズへと進む。そこからより多くの費用をかけて、プロトタイプの精度を上げていく。

 ゲートは予算10万円と100万円、100万円と1000万円の間に設ける。こうすると、最初のゲートを超えた後でも、かけた金額は総額で数百万円規模だ。すぐに「金をかける意味があるのか?」という視線に晒されがちな実験的組織にとっては、金額を抑え、組織内に安心感を生むことが非常に重要だったと長﨑氏。

 その中から生まれたものの1つが「CLEAN BOX」という商品。世界初、中に入れたゴミを冷やして凍らせてしまうごみ箱だ。

CLEAN BOXNKC長﨑氏のセミナースライドより

 この商品は、社内ニーズやシーズからではなく、フラットに生活者を観察したところから生まれた。知り合いの家の冷凍庫を開けた時に、生ゴミが凍らせてあったのを見たのがきっかけ。そうすると、収集日までにおいを気にせず保管できるという生活の知恵だった。調べてみると、学校のひとクラスにつき1、2人の母親はやっていると考えられることがわかった。

 家庭には生ゴミだけでなく、オムツやペットのシートなど、悩ましいにおいを発するものがいろいろとある。テストをしてみた結果、マイナス10度より冷やすと、オムツもにおいがしなくなった。新たな概念の家電が生活の中でどう溶け込んでいくのか、使い勝手や使い心地を最優先に製造。多産したプロトタイプの中から最も勝ち抜き、ゲートを通過したこのアイデアに1000万円代の開発費用を投入し、100台限定で製造販売することを目的にプロジェクトをさらに前に進めた。

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