稲垣Co-CEOが語る、オペレーション効率化と創造的な仕事に向けた環境作り
──オペレーショナルチームの取り組みから先にお伺いしましたが、企業全体で生産性向上を非常に重要視しているそうですね。
稲垣裕介氏(以下、敬称略):はい。私たちは2028年に売上1,000億円を達成するという目標を掲げています。もちろん数字は目安であり、その売上規模に到達できるぐらい、多くのビジネスパーソンの意思決定を支える価値を届けることを目指しています。現在の売上は約150億円なので、ここから約7倍の規模に対応できる力を身に着けていく必要があります。その目標達成に向けて組織を拡大しなければならないですし、現在事業展開しているアジアと北米を中心に、グローバルに価値を届けていくために、さらに社内に多様性を持たせる必要もあります。一般的には人数を増やし多様性を高めることは、それだけの多くのコミュニケーションコストがかかること意味します。
今後組織が大きくなっていったとしても、最も重要な点は変わりません。それは、生産性を高めることと、個の能力の発揮です。ユーザベースの組織化は人の能力や業務の均一化ではなく、オペレーショナルな業務の生産性を極限まで高め、その人にしかできない創造的な仕事に集中できる環境を作っていくことです。特に今はコロナ禍で市場全体が変化していますし、その変化を先取りすることが必要です。オペレーショナルな業務を円滑に進める基盤が整備できないまま変化させようとすると、必ず無理が生じますし、組織は持続しなくなります。
──基盤をしっかりすることが重要だとおっしゃいましたが、その1つが「シェアードオペレーション」ですよね。他に何か取り組まれていることはありますか。
稲垣:生産性を高めるためにもSaaSツールは積極的に導入するようにしており、ユーザベース全体で使用しているSaaSツールが約400個あります。ただ、1つの部門やチームで使っているものだけでなく、複数の部門にまたがって使っているものもあり、複雑な機能を使いこなすまでのハードルが高くなっているという課題を感じていました。
──400個というのはとても多いですね。SaaSツールによる生産性向上を実現するために「WalkMe」を導入されたとのことですが、WalkMeはどのようなツールなのでしょうか。
道下和良氏(以下、敬称略):誰もが迷いやストレスなくデジタルシステムを使いこなせるようにするためのツールです。「迷いなく」という意味では、マニュアルやトレーニングいらずで操作ができるようなナビゲーションをシステム上に表示してオペレーションをガイドします。「ストレスなく」という意味では、システム上の煩雑な操作や業務プロセスを自動化したり、データ入力の補助や自動化を通じて効率性や生産性を高めます。また間違った操作や入力がされないように見守りながら適時適切に注意喚起も行います。
約400個ものSaaSを導入して生産性を向上させているユーザベースさんですが、Salesforceのように部門横断で活用するSaaSに対する社内の要求度が高くなり、業務プロセスと画面が複雑になってしまう傾向がありました。WalkMeは、スピードを重視されているユーザベースさんだからこそ、複雑になっているSaaSを使いやすくしたり、業務に馴染むようにしたりするのに役立てるのではないかと考えています。