大企業病からの脱却を目指すNECの変革──NEC Wayを全社に浸透させる「連鎖ミーティング」とは?
第13回 ゲスト:NEC コーポレートコミュニケーション本部 兼 経営企画本部 浅沼孝治氏(後編)
いま企業のあいだでは、社会における“存在意義=Purpose(パーパス)”を再定義して「自社は何のために存在しているのか」、社員一人ひとりは「何のために働くのか」を明確にする動きが活発になっています。これは、技術革新や時代の変化によって消費者ニーズや価値観が変化したことや、企業都合のビジネスではなくサステナブルな経営が求められるようになった社会の変化も影響しています。 日本電気株式会社(NEC)はPurposeを含むNEC Way改定を契機に、「大企業病」から脱却をしようと試み、大きな成果をあげています。前編では、経営層の大きな変革の背景と方法について、取り組みを企画し運営したコーポレートコミュニケーション本部 兼 経営企画本部の浅沼孝治氏に聞きました。後編では、社内外への浸透について紹介します。聞き手はパーパス経営を推進するコンサルティングを提供するIdeal Leaders株式会社のCEO永井恒男氏です。
人事制度の変革による多様性を尊重する文化の醸成
永井恒男氏(以下、敬称略):前編では、2012年に遠藤信博社長が役員合宿を始め、そこで2020年に発表になったNEC WayのPurposeの原型を作ったり、ビジネスモデルを強化する取り組みを始めたりし、その活動を事業部長クラスまで広げていった話をお聞きしました。今回は、全社の変革についてお伺いしていこうと思います。
全社でのカルチャー変革の取り組みを、その当時の新野隆社長が始めたのは2018年になってからとのことでした。2018年には具体的に何を始められたのでしょうか。
浅沼孝治氏(以下、敬称略):NECのカルチャー変革については、社長であった遠藤は常に意識していたのですが、全社に対しての取り組みになかなか着手できませんでした。社長が新野に変わり、新しい中期計画を打ち出しましたが、その初年度に中期計画を見直す必要に迫られます。その際に、計画を立てるだけで実行力がともなっていないことを痛感し、2018年に再び発表した中期計画の中で実行力の改革を経営の柱の1つに据えることになりました。新野は、背水の陣の覚悟で社内改革に取り組み、「企業文化を変えることで強いNECを作る」ことを目指します。NEC社内には「大企業病からの脱却、官僚主義の排除、フェアな評価・報酬制度の導入」を宣言し、その流れを推進していく組織として、カルチャー変革本部を立ち上げました。具体的には、「経営陣の役割を明確にし、結果へのコミットメントを強化すること」「実行した人が報われる、賞賛される評価・報酬制度を導入すること」「多様なタレントを幹部・社員に積極採用・登用していくこと」などを進めていきました。最後の「多様なタレントを積極採用・登用」というのは、社外の人材を積極採用していくという宣言でもありました。その時に、1つのモデルとしたのがGEです。2016年にNECとGEは協業を発表したのですが、その流れで、GEで実践されている企業文化を大いに学ばせていただきました。
それ以前にも、社外から人材を採用することにチャレンジし、他社で働いていた方を迎えたこともあったのですが、この会社で能力を十分に発揮していただくことができませんでした。当時のNECには、多様性を受け入れる土壌がなかったのです。GEやマイクロソフトで人事改革をされていた方、経営コミュニケーションをされていた方をカルチャー変革本部に迎えて改革を加速し、組織のつくり方や人材マネジメントのあり方、コミュニケーションのあり方など、これまでとは異なる発想が入り、NEC内にも多様な考えや人を受け入れる土壌ができ始めました。様々な経歴を持つ人材に入社してもらえるようになり、現在では、発想や表現の幅が飛躍的に向上していることを実感します。
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