複線化するキャリアと暮らし方の鍵はパラレルワールドにある
佐宗:地域や組織独自の文化を育み、それをぶつかり合わせて全体の総和を高めるような思考は、非常に重要だと感じます。一方で、現在はリモートワークの影響で企業内の文化、それこそ身体に埋め込まれたリズムのようなものが生みにくくなり、個人が孤立し組織はバラバラになりつつあると思います。私自身も東京から軽井沢に引っ越したのですが、リモートワークが可能になった結果、移住しやすくなり、身体的な同期を起こしにくくなりました。そんな中で、どうやってコミュニケーションをしていけばいいのかと悩む企業や組織は多そうです。
山極:複数のキャリアを同時に持つこと、多拠点居住はこれから進むでしょうね。それに伴って、人生も複線的なものに変わっていくでしょう。今までのように学校に行き、就職して一つの職場と家庭を毎日往復するような人生ではなく、仕事に就いても大学に通って新しい技術や能力を開発し、また別の仕事に就く。複数の仕事と複数の拠点を持って自分を多様に演じながら人生を送る。こういった人生が楽しいと、若い世代は考えていますよね。