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DXの次のパラダイムシフト「QX」

電通岸本氏が量子コンピュータで繰り出す“次の一手”──量子計算でテレビCMの効果を最大化する

第3回 ゲスト:電通 岸本渉氏

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 今、「量子コンピュータ」が注目を集めています。本格的な実用化はまだまだこれからですが、世界中で量子コンピュータの特性を活用したアプリケーションの開発が進んでいます。本連載では、先進的に量子コンピュータの活用を開始している企業への取材を通して、近い将来起こるであろうDXの次のパラダイムシフト「QX(Quantum Transformation)」について掘り下げていきます。  第3回は、テレビCM出稿の最適化を行う「RICH FLOW(リッチフロー)」システムでの量子コンピューティング活用を推進する株式会社電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局テレビ市場開発部長の岸本渉氏にお話を伺いました。聞き手は株式会社住友商事 蓮村俊彰氏です。 ※取材はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保って行っています。

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AIや量子コンピュータを積極的に採り入れる岸本氏の背景

蓮村俊彰氏(以下、敬称略):私が電通を卒業したのが2018年の年末で、現在は住友商事で量子コンピュータを使って新しいビジネスを作るQuantum Transformationプロジェクトを立ち上げています。まさか自分の古巣の電通が、量子コンピュータの先進的な開発開始のリリースを打ち出してくるとは思っておらず、度肝を抜かれました。

 私の在職中からAIや最新のデジタルテクノロジーを積極活用していたところは知っているのですが、そこから量子コンピュータにまで至った経緯をお伺いしたいと思っています。

岸本渉氏(以下、敬称略):ありがとうございます。私は入社から電通テレビ局(現在はラジオテレビビジネスプロデュース局)で、主にスポットCMと呼ばれる15秒のテレビCMに関わって20年経ちます。最初はテレビ局さんの担当窓口、通称「局担」と呼ばれる業務を担い、その後は広告主さんの予算を預かってスポットCMのメディアプランニングを行うスポット業務推進部、通称「業推」に異動し、直近5年くらいは新規開発領域に携わっています。

 「局担」は、テレビ局の売り上げをどう最大化するかを考える担当で、「業推」は、広告主に対して、より広告効果の高いテレビ広告のバイイングを考え推進する担当。それぞれテレビ局のエージェントと、広告主のエージェントのようなもので、お互いが、電通社内で交渉し合っているような部署です。

 業推在籍時、最初は、視聴率を予測する「SHAREST(シェアレスト)」というシステムの開発に着手しました。これは、AIを活用してこれから放送される番組の視聴率を高精度に予測する仕組みです。

 通常、テレビ局と広告主がスポットCMの取引をする際は、過去の特定期間の視聴率の平均値を用いてこれから放送する番組の視聴率の見込みを立て、それらを元にCM枠の値段が決まっていきます。しかし、実際にオンエアが終わると、その数字が上振れすることも下振れすることもあります。その乖離を減らすための仕組みとして、シェアレストを開発しました。これが、2016年くらいのことです。

株式会社電通 テレビラジオビジネスプロデュース局テレビ市場開発部 岸本渉氏
株式会社電通 ラジオテレビビジネスプロデュース局テレビ市場開発部長 岸本渉氏

蓮村:AIを活用したり、視聴率予測に着手したりというのは、岸本さんに何かバックボーンがあったのですか?

岸本:大学は心理学の社会心理学科出身で、統計学を使う学問なんですよね。理数系ではないですが、統計学を学んでいたことは、AIでの分析やプランニングの精緻化に活かすことができていると感じます。これから放送される番組の視聴率をどう予測するかに関しては、統計学的なアプローチが重要になります。

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この記事の著者

佐藤 友美(サトウ ユミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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