自走を可能にする、マインドセット・スキルセットやカルチャーのデザイン
「なぜやるか(WHY)」からビジネスをデザインできたあとは、自走するためのマインドセット・スキルセット・カルチャーフィットをデザインすることが必要だ。これはDXの中でも一番難しいものであり、それが達成できてこそDXの成功だといえると河井氏は強調する。インキュデータはこの点でも多数の企業を支援している。
大手証券会社でのデータマーケティングの課題
この企業では、それまでマーケティングといえばマスに対する画一的な宣伝のみ行っており、顧客の心を動かすコミュニケーションがなかった。それをDXによってデータを活用したone to oneマーケティングに変える取り組みを進めていたが、体制面での課題が多く、なかなか進まなかった。具体的には口座開設担当、国内株式担当、外国株式担当と部門が分かれていて、各部でKPIも異なる状態でデータが顧客一人ひとりに紐づいて取得できる状態にはなっていなかった。またデータ取得の効率が悪く、データの正確性にも疑いがある状態だ。そして部門を横断した顧客コミュニケーション戦略を把握する担当もいなかった。
口座開設後の取引開始率が800%アップ。その支援の中身
そこでインキュデータは全体のマーケティング戦略と、データ基盤を築くことを重視して支援を行った。その段階で、口座開設後取引開始率が800%アップになっている。加えて、インキュデータはマーケティング組織の育成を行った。具体的には、クライアントから未来の講師役としてオブザーバを選出してもらい、各部門から有望な若手マーケターを選出して、インキュデータのメンバーと共に「SWATチーム」を作り、マーケティング業務を遂行する。
最初は多くの部分をインキュデータのメンバーが行うが、次第にクライアント企業のメンバーが独り立ちできるように支援していき、彼らが業務をマスターすれば各事業部に戻って他のメンバーに伝授してもらう。
その際、それぞれの役割に応じて、スキルレベル、育成の目標レベルを明確に決め、全てのメンバーのレベルを自走化可能ラインから、エキスパートとして他メンバーを指導できるレベルに引き上げるためのマイルストーンやプロジェクトを定めることも含めて支援している。
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部門横断のハブ機能として、自走できるまで伴走する
DX推進は全社横断的に進めることが必要である。支援を求める企業のリクエストに対応するだけでは進まない。インキュデータは本質的な課題が何かをクライアントと共に考え、ワンチームとして事業にコミットする支援方法をとっている。その際、最も重要なのがハブとしての役割である。経営層と現場では、想いやミッションが異なるため、使う言語が違うことも多い。全社横断の場合、横の組織との間では本音が言いづらいこともある。そういった場合にハブとしてインキュデータが入ることで円滑にコミュニケーションができることも多いという。
河井氏は以下のように言い添え、講演を締め括った。
「DXでは『なぜやるのか』を大事にしながらビジネスをデザインし、それを実装してくためのマインドセット・スキルセット・カルチャーも同時にデザインしていくことが必要です」
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