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組織戦略としてのデザイン

デジタル庁のデザイン組織に聞く、行政組織におけるデザインの仕組みや組織文化のインストールとは?

【前編】ゲスト:デジタル庁 サービスデザインユニット 鈴木伸緒氏、松本隆応氏、志水新氏

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行政組織における「デザイン文化」の醸成に必要なこと

岩嵜:私自身も、研究を通じて「中央省庁、都道府県、地方自治体ではユーザー理解が異なる」とは感じていました。所管するエリアが小さくなればなるほど、ユーザー理解が深い。やはり「顔が見える」というのがポイントのようです。

鈴木:中央省庁の職員は「サービスを作る」ではなく、「ルールを作る」という意識のほうが強いのだと思います。それは業務の特性上、必要な側面でもあります。ただ、中央省庁の職員は優秀な人が多いので、ユーザー理解の視点が備われば、サービスデザインにもすぐに対応できるはずです。

岩嵜:ということは、「デザインの組織文化の醸成」が必要なわけですね。デザインの組織文化の醸成に向けて、なにか具体的な取り組みはありますか。

志水:現在、庁内での勉強会を通じてデザインアプローチを少しずつ浸透させている段階です。昨年、全省庁の職員に向けてサービスデザインの研修を開催したのですが、約800名の職員が参加し、一定の手応えを感じています。

 ただ、行政組織の従来の進め方や考え方と異なる部分が多く、デザイン文化を醸成するハードルが高いのは確かです。デザインのアプローチを行政に普及させるためには着実に一歩ずつ進めていくしかないと考えています。

鈴木:デザインの組織文化の醸成については、時間を要する話だと思います。デジタル庁は発足してまだ2年ほどですし、デジタル庁採用の職員もごくわずか。ほとんどの職員は、他の中央省庁や都道府県、地方自治体、民間企業からの出向や転職組のため、組織文化そのものを作り上げている最中です。

 そのため、今後、デジタル庁採用の職員がさらに増え、出向の職員が元の所属に戻って、人材が循環しはじめ、それが一周したときに、取り組みの成果が表れると思っています。私としては、そのときに向け、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透やデザインの仕組みづくりを着実に進めていきたいと考えています。

岩嵜:民間企業のデザイン組織と似ている点と異なる点、両方をお伺いできて非常に興味深いです。それでは、後編では、さらに具体的な活動やエピソードをお聞きしたいと思います。


■後編『行政特有の言語をデザインで解きほぐす。デジタル庁のデザイン組織が示唆する「未来のデザイナー像」』へ続く

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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