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意思決定のサイエンス

早稲田大学 牧准教授に聞く、正解のないイノベーションと科学的思考法──真の因果関係による意思決定とは

【第1回・前編】ゲスト:早稲田大学ビジネススクール 准教授 牧兼充氏

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 連載「意思決定のサイエンス」は、主に大企業における新価値創出について「両利きの経営」などの考え方をベースとした実践的な思考法や行動原理について識者と共に紐解いていく。今回は早稲田大学ビジネススクール准教授でカリフォルニア大学サンディエゴ校ビジネススクール客員准教授を兼務する牧 兼充氏を招いた。牧准教授が自著『科学的思考トレーニング』(PHPビジネス新書)で解説する科学的思考法のビジネスにおける活用について、その価値と本質を、具体的な事例も交えて語っていただいた。

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スターサイエンティストは起業をしてもうまくいく

──ご著書の『科学的思考トレーニング』を始め、ビジネスパーソンに対して科学的思考法を伝えようとなさっているのは何故ですか。

 私は元々、卓越した研究業績のある「スターサイエンティスト」の研究をしています。その過程で、ハイパフォーマンスな研究者は起業をしてもうまくいく、という現象をよく見てきました。

 特に2023年3月まで慶應義塾大学先端生命科学研究所の所長であった冨田(勝)さんにインタビューをしたり交流したりする中で、彼がスタートアップを立ち上げるのが非常に上手であることに気づいたんです。冨田さんは元々サイエンティストですから、ビジネスを立ち上げるときにもサイエンスの手法をそのまま使っているんですね。そのようなきっかけがあって、科学的思考法は研究のためのみならず、ビジネスにも適用可能だということを発見したんです。

 ところが、この手法をビジネスパーソンはあまり学んでいません。そこで、科学的思考法を体系化してビジネスパーソンに教えるということを考え始めました。

 時を同じくして、ハーバード・ビジネス・レビューに「リーダーは科学者のように思考せよ」という論文[1]が掲載されているのを見つけ、アメリカでも同じことを言っている人がいるんだと感じました。

──サイエンティストの手法をビジネスに適用しようというわけですね。デザイナーの手法をビジネスに適用するデザイン思考の考え方と同じ構造でしょうか。

 そうなんです。似ていますよね。ちなみに、科学的思考力を持っている人がデザイン思考を使うと、すごくパフォーマンスが高いんです。デザイン思考も結局は仮説と検証ですから、良い仮説を立て、それをサイエンティフィックに検証できる人が良い成果を出すということですよね。


[1]ステファン・トムク、ゲイリー W. ラブマン『リーダーは科学者のように思考せよ 前提を疑い、テストを繰り返し、証拠を集める』(「ハーバード・ビジネス・レビュー」、2022年9月号)

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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