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住友重機械工業がインキュデータと乗り越えたDX組織の分断──アイデアソンによる「共創の成功体験」とは

Biz/Zine Day 2024 Winter レポート:住友重機械工業株式会社 山口久美子氏/インキュデータ株式会社 古谷梢氏

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「共創の成功体験」がイノベーションの第一歩になる

 すべてのプログラムが終わった後、参加したメンバーを対象にアンケートを行った。すると、「研修後も続く新しい人脈が2人以上できた」と回答した人は93%。人脈づくりの目標をほぼクリアしており、さらに「初めての共創体験を楽しめたことが良かった」という感想やコメントが目立ったという。

 同じチームで同じものを創り上げた仲間としての意識が醸成され、その後の業務の中でもスムーズなコミュニケーションがとれるようになり、議論が進んだと語る山口氏。「これまで、お互いに隣で何をしているのか聞くことすら難しかったのが、今ではコミュニケーションコストが大きく下がり、業務改善スピードも上がった。これはアイデアソンを通じて心理的安全性を高められたから」だと分析する。

 また、各々が共創マインドを持ったことで、アイデアづくりを楽しめる風土が醸成されていることに気付いたそうだ。加えて、管理職クラスのメンバーについては、若手から出てくる現状に対する不満や課題と向き合うようになり、「たとえ小さな課題でも、誰もが同じように感じている状態ならば大きな問題につながる恐れがある」ということがわかった。さらに、各々が内に秘めた課題意識を持ち、それら課題に対する意見を発信するなど、施策実施前のイメージや予想とは良い意味で覆されたことも発見だった。こうした、孤立している状態では捉えきれなかったことに気付けたことが大きな収穫だったと山口氏は話す。

 とても満足度の高いアイデアソンとなったわけだが、古谷氏は「『これを実施すれば組織づくりがスムーズに進む』というわけではない」と補足する。大切なのは、この場で得た気づきなどを改めて分析し、次のステップに順に進んで行くことだ。

 SHIの場合、物理的な距離やマインドセットなどといった自社の課題は把握していたが、ステップ1を通して、把握していた課題の裏に潜んでいた本質的な課題を実感することができた。アイデアが出てこない裏には、「組織づくりの仕組みがない」「成功体験や前例がない」「アイデアを出しても評価してもらえないと思われていた」などといった本質的な課題があると認識し、「DX推進組織づくりでは、課題に合わせステップを飛ばさずにプロセスを経ていくことが重要だ」と理解できたわけだ。

 今後、同社ではプログラムを通して見えた共通の悩み・課題を組織課題として分析・認識し、「解決に向けて土台づくりにどう取り組むか」、そしてハイブリッドワークの環境下で「活発なコミュニケーションをどう維持していくか」を考え、取り組みを進めていくという。

 また、今回のアイデアソンで出たアイデア・課題をより深掘りし、実際に解決・実行するだけでなく、次なる課題である事業部門や顧客との共創イノベーションについても、それを実現するための新たなカルチャーの発信・共有が必要であると山口氏は認識している。

 今回の事例では、あるべき姿を見据えつつも、一足飛びではなく「いま踏み出すべき第一歩」を見極めて実践していくことが肝要であると明らかにされた。失敗ばかりで変革推進を見合わせているようであれば、SHIとインキュデータのように現状を把握し、スモールステップで成功体験を積む施策を検討するのも一手だろう。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:インキュデータ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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