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ブラザー工業 安井氏が語る、“新規事業”と“オープンイノベーション”による事業ポートフォリオの変革

Biz/Zine Day 2024 Winter レポート:ブラザー工業株式会社 安井邦博氏

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ブラザー工業116年における“3つの変革”

 ミシンやプリンタのメーカーとして広く知られるブラザー工業は、1908年に創業し今年で116年目を迎える。電機・機械メーカーとしては老舗企業といえるが、もとはミシンの修理業から始め、現在ではプリンティング&ソリューションズ事業が売上全体の60%程度を占めるなど、時代とともに事業ポートフォリオを変えながら成長してきた。さらに積極的なグローバル展開のもと、国内よりも海外での売上が勝るという。

 ブラザーでは「創業の精神」として「働きたい人に仕事をつくる」「愉快な工場をつくる」に加えて、「輸入産業を輸出産業にする」を掲げてきた。事実、創業直後の1900年代には国内では海外製ミシンがほぼ100%を占めていたところから、ミシンの国産化を果たした上で、1947年に家庭用ミシンを初めて輸出、1983年度には海外売上が国内売上を抜き、2022年度には海外の売上比率が85%程度を占めるまでに成長した。

 さらに事業ポートフォリオの変革も時代に合わせて実施している。同社で新規事業推進を担う安井氏は、ブラザーの技術と製品の歴史をまとめた“テクノパノラマ”を示し、「非常に広く、多岐にわたる製品を価値として世の中に届けている」と話す。

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 最初の変革は、創業から50年間の「ミシン専業の時代」だ。手回しや足踏みミシンからモーターを使った電動ミシンへと技術的な変化があり、さらにそのモーター技術を活用して家電などの様々な分野に乗り出した。これは2つ目の変革期「多角化の時代」であり、タイプライターや工作機械などの事業もこの時期にスタートしている。そして、3つ目の変革は1971年に始まった「情報通信機器の時代」であり、現在のメイン事業となっているプリンティング事業はこの時期に端を発している。そして、1992年に子会社エクシングを設立しビジネスを始めた通信カラオケ「JOYSOUND」もまた「情報通信機器の時代」からの取り組みが実を結んだ形だ。

 こうした様々な変革、新たな事業の立ち上げがあり、ポートフォリオの事業構成も大きく変わってきた。1970年度には、売上が500億円強、最も売上が多いのはミシンで36%、電化製品、編み機、タイプライターと続いていた。それが52年後の2022年度には、売上は約16倍の8,153億円、通信・プリンティング関連事業が60%を超えている。70年代に0%だったプリンタが今の主力というわけだ。

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 他にも工作機械や工業用ミシン、産業用プリンタといった産業機器が中心の「マシナリー事業」で約12%、さらに英国の商業印刷会社をM&Aした「ドミノ事業」が約12%、歯車やギアモーターなどの製造子会社をTOBで取り込んで2.9%、また家庭用ミシンの「パーソナル&ホーム事業」、カラオケの「ネットワーク&コンテンツ事業」などと多岐にわたる。

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伊藤 真美(イトウ マミ)

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