生成AIと経理のこれから、経営の意思決定への貢献
さらに、松岡氏は生成AIと経理のこれからについても言及した。生成AIがいかに急速に進化しようとも、請求書や領収書を紙とハンコで処理していては、その恩恵を受けることができない。稟議情報や契約書などを会計伝票と紐づけ、上流のプロセスまで統合し、適切な粒度でデータを連携し管理することが必要だと述べた。特にチェック業務などは、AIを活用すればさらなる迅速化が見込めるだろう。
マネーフォワードでは既に、『マネーフォワード クラウド会計』『マネーフォワード クラウド確定申告』の会計データとChatGPTをAPI連携したサービス、「マネーフォワード クラウド 会計 for GPT」をリリースしている。現時点では会計データを用いたエグゼクティブサマリーの作成にとどまっているが、将来的にはより深い財務分析や財務改善を提案できる機能が追加されていく予定だ、と同氏は語る。
このような機能を最大限に活用するためには、経営ニーズや課題に応じたデータベースの構築が不可欠だと松岡氏は述べ、クラウド上にデータを蓄積することが将来を見据えた重要なステップであると強調した。
現状、多くの企業において、紙とハンコが未だに経理プロセスの主流となっている。松岡氏は、まずは電子化を進め、ペーパーレス化とクラウド上のデータベース構築をDXの第一歩として推奨し、「現在の段階でしっかりと基盤を築いておくことが、将来の大きな差につながる」と講演を締めくくった。