透明なコミュニケーションの重要性
髙橋:覚悟と信念、そしてコミュニケーションが大事です。厳しいことを言うのはなかなか難しいですが、私は役員会で直接厳しいことを言うし、個別に呼び出して伝えることもあります。
宮森:逆に、髙橋さんご自身が言われることもあるのでしょうか。
今井:もちろんです。360度フィードバックがありますし、髙橋が社長になる前には、役員全員が参加したオフサイトミーティングで「髙橋さんに対して思うことを率直に伝える」という会をやりましたよね。
髙橋:GEでもよくやっていたのですが、新リーダーになる人が部屋を出た後、残ったメンバーが「これはやめてほしい」という点を付箋に書き出していく形式です。それと同じようにやりました。
また、「社長になります」というアナウンスの後、いくつかの事業所でタウンホールミーティングを開いたのですが、その一つを今井がこっそりコンサルタントに見せていて、後でそのコンサルタントから徹底的にダメ出しをされました。「ここがダメだ」「こうした方がいい」と、役員全員の前で2時間以上指摘されました。
今井:さすがの髙橋も、相当へこんでいましたよね。
髙橋:そりゃへこみますよ。その状態で「来年のタウンホールミーティング用の資料がありますから、今すぐロープレしてみてください」と言われました。言われた直後だから慎重になり過ぎて、非常に安全運転な説明をしてしまったんです。すると、終わった途端に「それじゃおもしろくない」「髙橋さんらしくない」と言われてしまいました。
どうしたらいいんだと思ったら、役員の一人が手を挙げて「髙橋さん、変わらなくていいですよ。僕らがフォローしますから」と言ってくれました。それがとても救いになりましたね。
宮森:それは素晴らしいですね。お話を伺っていると、やはり知的な誠実さ、そして嘘をつかない姿勢が印象的です。だからこそ、コミュニケーションが透明なんですね。
髙橋:透明性を一貫して保つことは本当に大事だと思います。
今井:そして、間違えたら素直に謝ることです。
髙橋:それも重要ですね。私はよく「間違えました、大変申し訳ありませんでした」と謝ります。
今井:走りながら進めている分、抜け漏れも多いですからね。
宮森:お二人のその姿を見て「こうなりたい」と思う人が増えるといいですね。