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2024年のグローバルM&A取引総額は3.5兆ドルに到達見込み──べイン・アンド・カンパニー調査

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 べイン・アンド・カンパニーは、「2024 年グローバルM&A市場動向レポート」を発行した。

 同社が行ったグローバルM&A市場に関する主要関係者への調査による予測では、2024年のグローバルM&A取引総額は前年比15%増の3.5兆ドルに達し、2010年代中頃の水準と一致する見込みだという。M&A取引件数も前年比7%増加し、2年続いた減少傾向が反転した。

 しかし、依然として買い手と売り手の期待バリュエーションの差がM&Aの主な足かせになっていることも浮き彫りになったという。また、長引く高金利や独占禁止法などの規制、国政選挙などが影響し、M&Aに慎重になる傾向も顕著だとしている。

 一方で、日本市場はとても活況で、今年も飛躍的な成長を遂げ前年比43%の成長が見込まれている。

取引市場の動向:金利の影響が顕著

 取引市場の状況はプレイヤーによって異なる。金利が若干低下したことで、プライベートエクイティ(以下、PE)およびベンチャーキャピタル(以下、VC)の活動は回復基調を見せ、PE取引総額は前年比29%増、VC取引総額は同30%増となった。

 借り入れコストの変動に影響されにくい企業間M&Aは前年比12%増となり、すべての地域で安定的に成長。特に、エネルギー・天然資源、産業、金融サービス分野での戦略的活動や、小売および通信分野の大幅な成長がこれらの成長を後押ししたという。

 一方、通常はM&A取引が活発なテクノロジーやヘルスケア・ライフサイエンス分野は依然、過去の水準を大きく下回っている。

高金利という新しい日常への戦略の適応

 高金利が続く中、買い手は案件をより厳しく選別するようになり、長期的なトップラインの成長とコストのシナジー両方を追求するようになったという。

 その結果、規模のメリットによる市場リーダーシップの強化やコスト削減を目的としたスケールディールは、2024年のグローバルM&A取引金額における59%を占め、2015年以降で最も高い比率となった。

 これは、1年以内に明確なシナジーが見込まれる取引の増加を反映しており、従前成長傾向を見せていたスコープM&A(急成長する市場セグメントへの参入によるトップラインの加速的な成長を目的としたM&A)とは明らかに異なるトレンドだという。

生成AIがM&Aプロセスを変革

 2024年は、M&A業務に生成AIを活用する動きが加速した。同社の調査によれば、M&A実務担当者の20%が生成AIを活用しており(前年比4%増)、さらに16%が今後12ヵ月以内に新たに導入を予定しているという。

 生成AIの活用で、手作業の削減(79%が回答)、プロセスの短縮(同54%)、コストの削減(同33%)といったメリットが報告されているとのことだ。特に、ソーシングやスクリーニング、デューデリジェンスの効率化で効果を発揮しているという。

記録的成長を見せる日本のM&A市場:戦略的買い手によるインバウンド取引がけん引

 増加傾向に反転したとはいえ、依然緩やかな成長を示す世界市場と比べ、日本のM&A市場は2024年初来で、M&A取引全体で前年比43%の記録的な成長を達成する見込みだとしている。

 戦略的買い手による日本のインバウンド取引(日系企業をターゲットとする取引)は、2024年初来で1190億ドルに達し、前年比で87%の大幅な増加を記録。取引件数も13%増加した。この成長の背景には、2024年第3四半期に発表されたクシュタール(Couche-Tard)とセブン&アイの取引(584億ドル)が大きく寄与しているという。

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日本市場では主要産業がけん引:小売業、先端製造・サービス、テクノロジーが活況

 日本市場のインバウンド取引額において、主要産業である「小売」「先端製造・サービス」「テクノロジー」が大きな伸びを示した。これらの業界では、年初来でそれぞれ4000%以上、66%、16%の取引額の増加が見られる。

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アウトバウンド取引:海外展開を加速、特に小売と消費財が躍進

 日系企業が主体となるアウトバウンド取引(外資系企業を対象とする取引)も堅調に推移し、取引額ベースで全体の約30%を占めた。「小売」が大半を占めるインバウンド取引と違い、「エネルギー・天然資源」「先端製造・サービス」「テクノロジー」「金融サービス」「ヘルスケア・ライフサイエンス」と幅広い業界で取引が見られる。

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市場全体の見直し

 2025年の世界のM&A市場は引き続き成長を続けると見られ、日本市場もその中で重要な役割を果たしているという。インバウンド・アウトバウンド双方での活発な取引は、グローバル市場での日本の存在感を高めるとともに、M&A市場全体に新たな成長機会を提供していると同社は述べている。

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