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経営戦略としてのサプライチェーン変革

経済産業省 吉川氏に聞く、国が進める「貿易手続デジタル化」の現在地──貿易DXと企業支援の全体像

ゲスト:経済産業省 吉川尚文氏

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貿易プラットフォーム利用率10%に向けた3つの取組

真畑:貿易プラットフォームの利用率を10%に引き上げるために、具体的にどのような政策に取り組んでいるのでしょうか。

吉川:大きく分けて3つの取組を行っています。

 1つ目は、貿易プラットフォームの利用者を増やすことです。先ほど申し上げた検討会に加え、予算措置も講じています。具体的には、貿易プラットフォーム導入のためのシステム改修費用の補助や、導入効果を検証するための実証事業の補助、そして、貿易プラットフォーム事業者間の連携を促進するための補助などを行っています。

経済産業省提供資料
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 2つ目は、貿易データの国際標準化です。貿易プラットフォーム事業者ごとにデータの種類・形式が異なると、相互運用性が低下し、利用者の利便性が損なわれます。そこで、国連の関連機関に働きかけ、日本企業が実務で使用しているデータを国際標準とするための取組を進めています。一部は既に実現しており、近くすべての要望が実現する見込みです。

 3つ目は、海外との連携です。日本国内で貿易DXを進めるだけでなく、相手国にも貿易DXに取り組んでもらう必要があります。まずはASEAN地域を対象に、国際機関と連携してロードマップを作成しました。今後は、各国の状況に合わせて具体的な政策提言を行い、取組を促していく予定です。

真畑:各国に向けての具体的な政策提言というお話は、初めて伺いました。日本で立ち上げた貿易DXの取組を、海外にモデルケースとして提案しているということでしょうか。

吉川:少し違います。考え方としては2つあります。

 1つは、日本の貿易プラットフォーム事業者が中心となり、日本と相手国のデータを一元的に取り扱うという方法です。しかし、海外では日本のプラットフォーム事業者の認知度がまだ低いという現状があります。そこで、もう1つの考え方としては、日本の貿易プラットフォーム事業者が海外のプラットフォーム事業者と連携することで、相手国の企業、相手国のプラットフォーム事業者、日本のプラットフォーム事業者、そして日本の企業を結びつけるという方法です。

 関係者の間では、こうした連携の必要性は認識されていますが、実際にうまくいくかどうかはやってみないとわかりません。そこで、実証事業などを通して、様々な課題を解決しながら進めていく必要があると考えています。

経済産業省提供資料
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この記事の著者

加藤 智朗(カトウ トモロウ)

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