さらなる新規事業で“学校”をゼロから創設
──RePlayceでの事業として、新たに「HR高等学院」を始めていますね。
山本:教育コンテンツとそれを伝える社会人コーチのノウハウというアセットを、夜の活動時間が中心の「はたらく部」から昼の時間帯にも生かしたいと考えていたところ、通信制高校と提携して生徒たちを学習面や精神面でサポートする、民間でも運営可能な「通信制高校サポート校」という枠組みがあることを知ったんです。ちょうどそのころ、起業家の成田修造氏と出会い意気投合し、「これまでにない新しい学校を作りたい」という想いが合致して設立したのが「HR高等学院」です。
「HR高等学院」では、午前は提携先の通信制高校のカリキュラムに沿って基礎科目の授業を受講し、午後はプロジェクト型学習や課題解決型学習など、「HR高等学院」独自の探究プログラムを受講することができます。探究プログラムは、新規事業の作り方や起業家マインドを学ぶ「ビジネス&アントレプレナーシップ」のほか、「テクノロジー」「デザイン」「ソーシャル」「グローバル」の5つのテーマから構成され、各生徒の興味・関心に沿って選択できる仕組みになっています。
──事業の立ち上げに際し、苦労したポイントはありますか。
山本:教育機関を設立するノウハウがまったくない状態からのスタートだったことです。通信制高校やサポート校が集まる合同説明会が集客の大きなチャンスなのですが、参加したてのころは他のブースは盛り上がっているのに「HR高等学院」だけ誰もいないという、精神的にも厳しい状況を経験しました。
それでも諦めずに、スタートアップのようなスピード感でクリエイティブや伝え方の改善を繰り返したことで、今では説明会に参加すると、終日お客さんが絶えない状態になりました。
──2025年4月に開校したばかりですが、これまででどのような手応えを感じていますか。
山本:初年度入学者数は合計71名ですが、特に注目しているのは通学を選択した生徒の割合です。「HR高等学院」では完全オンラインのコースと校舎通学を組み合わせたコースから選択できるのですが、約7割が通学ありのコースを選択しています。中には通学するため、沖縄など遠方から引っ越して親戚の家に下宿している生徒や、一人暮らしをしている生徒もいます。
通学率の高さには、入学希望者向けに開校前に実施した「学校を創ろう!プロジェクト」が影響したのかもしれません。校則や学校行事、部活動などを考えるプロジェクトで、多くの生徒が主体的に関わるうちに「このような学校なら通いたい」と思ってくれたのだと想像しています。
入学希望者の中には不登校経験者も多く、最初は不安そうだった生徒も、プロジェクトを通じて徐々に人前で表現したり活動したりするようになったのが印象的でした。私は、起業すること以上に「自分の足で自分の人生を歩む」という感覚をインストールすることが大切だと考えているので、徐々に自信をつけていく生徒の姿を見るのは嬉しいですね。
