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経営変革の「思想」と「実装」 (AD)

なぜ変革のレシピを公開するのか。宇田川教授とMuture莇氏が語る、依存型ではない企業変革支援とは?

ゲスト:Muture 莇(あざみ)大介 CEO、埼玉大学 宇田川元一 教授

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 2022年に丸井グループとグッドパッチが立ち上げた合弁会社Mutureは、丸井のDXやそれを支えるデジタル人材の採用・育成を様々な手法で支援してきた。現在では丸井以外の大企業のDXや企業変革にも取り組むなど、支援する組織を拡大している。本記事では埼玉大学の宇田川元一教授がMuture CEOの莇大介氏と対談。丸井のDXを進展させたプロセス、支援企業と事業会社の合弁だからこそ可能になる「ケア的な支援」を紐解き、宇田川氏の企業変革論との共通点を探った。

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成熟企業が陥りやすい「構造的無能化」

宇田川元一氏(以下、宇田川):まずは、御社のこれまでの取り組みをお聞かせください。

莇⼤介氏(以下、莇):Mutureは丸井グループ(以下、丸井)のDX支援を目的とし、丸井とグッドパッチ双方のトップがコミットして2022年に設立した合弁会社です。背景には、DX推進のための組織変革やデジタル人材の獲得を丸井内部の力だけで実現するのは難しい、という認識がありました。

 丸井は非常に成熟した組織であり、宇田川先生のおっしゃる「構造的無能化」がいたるところで起きうる状態にありました。過去の成功体験をいかにして新しい成功体験で塗り替えていくか、というアプローチで取り組んでいます。

構造的無能化
出典:宇田川元一『企業変革のジレンマ──「構造的無能化」はなぜ起きるのか』(日経新聞出版社、P94 図3-1を参照し作図)/クリックすると拡大します

宇田川:興味深いですね。

:ありがとうございます。その際、我々は「システムパートナー」と「チームパートナー」という2つの視点を持つことを重視しています。前者は組織の構造的な課題に向き合い組織全体を変える視点、後者はプロダクトや事業の成長を目指すチームに深く入り込む視点です。

システムパートナーとチームパートナー
資料提供:株式会社Muture/クリックすると拡大します

 重要な取り組みとして、まずは丸井にDX推進室を新設し、我々と一緒に活動する体制を作ってもらいました。そして2023年4月には、グループ初のアジャイル型の開発チームを立ち上げました。以前からアジャイル型でサービスの刷新スピードを上げたいというニーズはあったものの、ウォーターフォール型が前提の社内規定などがあって難しい状態でした。

アジャイル型の開発チーム立ち上げ
資料提供:株式会社Muture/クリックすると拡大します

 それらを一気に変えるのは無理があるので、まずは特定のアプリのリニューアルで、アジャイルを試すことにしました。

 しかし、プロジェクト立ち上げの合意には時間がかかりました。丸井グループの代表 青井さん(青井浩氏)は意欲的でしたが、我々としてはトップダウンでの決定を避けたかった。そこで該当のアプリを管轄する事業会社の経営陣と丁寧に話をして回った結果、「事業会社単独の意思決定にせず、グループ本社が全体テーマとして扱って欲しい」という回答が得られました。

 こうして、トップの青井さんと事業会社側の双方の意思が確認でき、1年間のプロジェクトが開始できたのです。

宇田川:なるほど。

コンサルファームの“依存型ビジネス”とは異なる支援

:これが2024年10月のマルイユナイトというグループ各社のDXやプロダクト開発を担う会社の設立につながります。小さなチームで試しながら、「DX推進室と一緒に地道に、アジャイルでプロダクトを作れる組織体をつくりましょう」という話を進めてきた結果でした。

マルイユナイト
資料提供:株式会社Muture/クリックすると拡大します

 こういった成功体験があり、丸井の新規事業のコンテストに「ちょっとMuture、入ってみて」と依頼をいただいたり、基幹システムの刷新も一緒にやっていくことになったりと、支援の幅が広がっています。

宇田川:面白いですね。Mutureさんの取り組みは「できるようになってもらう」、つまり自立にポイントがありそうです。コンサルティングファームが顧客を「依存させる」のとは違う形にしたいという意図が感じられます。

 また、事業会社が「うちではできない」と言って変革が前に進まないということはよくある話です。それを「グループ本社でぜひお願いしたい」という合意にまでどうやって持っていかれたのかが気になります。皆さんは当然、青井さんの意思を気にするでしょう。それでも、ちゃんと議論をして合意を成立させるためにどう働きかけたのか、さらにお話をお聞きしたいです。

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議論と合意を引き出す、デザイナーの対話力

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この記事の著者

やつづかえり(ヤツヅカエリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Muture

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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