量子覇権をめぐる国際競争で日本が勝ち残るには
寺部:世界に目を向けると、各国の開発競争も激化しています。海外の動向をどう見ていらっしゃいますか。
佐藤:特に中国は量子技術に莫大な投資を行っており、その動きは非常にダイナミックです。たとえば、量子鍵配送(QKD)の分野では全国規模のネットワーク展開を進め、さらには南アフリカとの衛星通信実験に成功するなど、国家戦略の中核に据えて軍民両用で技術開発を推進する姿勢が明確です。こうした動きを踏まえると、日本が国際競争に敗れ、産業ごと量子技術を失ってしまうというリスクも決して否定できません。だからこそ、価値観を共有する国々と連携し、日本の技術力を高めていく必要があるのです。