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「PoC死」を回避し大型提携へ。ugo×NTT西日本に学ぶ、大企業とスタートアップ協業のリアル

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 2026年2月19日に開催された「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2026」。本イベントで行われたセッション「スタートアップと大企業とのオープンイノベーション」には、ugo 代表取締役CEOの松井健氏とNTTビジネスソリューションズ バリューデザイン部・IoTビジネス担当部長の原勲氏が登壇。大企業とスタートアップの協業が実証実験で終わる“PoC死”に陥りがちな中、両社はいかにして壁を越え、アイリスオーヤマを巻き込んだ大型提携へと至ったのか。圧倒的なスピード感の違いを埋めるマインドセットや、経営層を動かす社内説得術について両氏が語り合った。聞き手はNTTドコモ・ベンチャーズの小竹有馬氏が務めた。

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PoC死を回避する“マイナスのデザイン”

小竹有馬氏(以下、小竹):大企業とスタートアップが連携しようとすると、残念ながらPoCで終わってしまうことが多いのが実情です。しかし、ugoとNTT西日本は本格的なビジネス化に成功しました。まずは、ugoが提供するロボット「ugo」の特異性について紐解きたいと思います。最新のヒューマノイド(人型ロボット)とは異なり、「ugo」には“足”がありません。これにはどのような理由があるのでしょうか。

ugo 製品一覧
出所:ugo株式会社「製品一覧

松井健氏(以下、松井):私たちの根底にあるのは「社会実装ファースト」という価値観です。二足歩行は理想的ですが、姿勢制御などの技術的難易度が極めて高く、高価になります。また、現場に導入する際の安全性やバッテリー切れのリスクなど、クリアすべき課題が山積みになってしまいます。

 そこで我々は、安定して移動できる「カート型」を採用しました。現場の顧客が一番使いやすく、必要な機能に絞り込む“マイナスのデザイン”から入るのが、我々のアプローチです。

ugo株式会社 代表取締役CEO 松井健氏
ugo株式会社 代表取締役CEO 松井健氏

小竹:なるほど。プロダクトアウトではなく、市場のニーズからもの作りをする「マーケットイン」のアプローチですね。原さん、NTT西日本がugoと組むと覚悟を決めたのも、そういった姿勢を評価してのことだったのでしょうか。

原勲氏(以下、原):そうですね。大企業の新規事業によくある「PoCをやることが目的」ではなく、我々もカスタマーファーストを重視しました。たとえば警備業務において必要なのは、立哨(りっしょう)し、移動してエレベーターに乗り、異常があればアラームを鳴らすことです。労働力不足と高齢化が進む中、二足歩行でなくても、ロボットがその役割を代替できるなら十分にビジネスとして成立します。多くのお客様もそれに賛同してくださり、これなら十分に我々のビジネスとして成立すると感じたのが今の協業に至る原点です。

NTTビジネスソリューションズ株式会社 バリューデザイン部・IoTビジネス担当部長 原勲氏
NTTビジネスソリューションズ株式会社 バリューデザイン部・IoTビジネス担当部長 原勲氏

アイリスオーヤマとの大型提携実現の決め手は?

小竹:そうした共創関係から、2023年11月にはNTT西日本とアイリスオーヤマの業務提携が発表されました。アイリスオーヤマの清掃ロボットに、ugoの技術を基盤としたNTT西日本グループの「AIロボティクスプラットフォーム」が採用されるという、ロボティクス業界でもエポックメイキングな出来事でした。この提携はどのようにして実現したのでしょうか。

:アイリスオーヤマさんは全国規模でビジネスを展開されています。そのため、我々の「西日本」という枠組みが足かせになる懸念はありました。しかし、最終的に提携に至った最大の理由は、NTTが創業以来、長きにわたって「日本のインフラを守ってきた」という安心感をご評価いただけたからです。ロボットを現場に設置し、壊れたらサポートする。今後の運用を任せるパートナーとして、先輩方が築いてきた信頼が決め手となりました。もちろん、我々だけでは実現できず、ugoさんと一緒だったからこそ成し得たことです。

松井:我々にとっても非常に大きな出来事でした。ロボットプラットフォームは今後絶対に価値が出ると確信していましたが、スタートアップ一社が、日本で最も清掃ロボットを販売しているアイリスオーヤマさんに直接採用していただくのは非常にハードルが高い。NTTさんと組んだからこそ、この座組みを実現できました。スタートアップだけではできないこと、大企業だけでもできないことを、両者が組むことで実現できた良い事例だと思います。

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圧倒的なスピードの壁を越えるマインドセット

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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