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KDDI館林氏、NTTデータ佐藤氏と見る「イノベーティブ大企業ランキング2026」とOI最新動向

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「経営トップの牽引」から「現場への権限委譲」へのシフト

 イベント後半では、ランキングのデータに基づく興味深い分析結果が提示され、パネルディスカッションによる深掘りが行われた。ここでは大企業が抱える組織的な課題や、上位企業に見られるオープンイノベーション推進体制の明確な差異が浮き彫りになっている。さらに、実務を阻害する見えない障壁についても活発な議論が交わされた。

 過去のイベント参加企業を対象としたアンケート調査によると、トップ30に入る企業とそれ以外の企業では、体制において明確な相違が見られた。トップ30以外の企業では「経営トップがリーダーシップを発揮している」「役員クラスが進んでネットワークを構築している」といった項目が高く評価されている。一方でトップ30の企業は、「成長へ向けた投資資金を確保している」「オープンでフェアな付き合いができる」といった実務的な項目で圧倒的な差をつけている。

 このデータに対し、KDDIの舘林氏は組織の成熟度という観点から鋭い指摘を行った。同氏によれば、トップダウンによる牽引は初期段階では重要であるものの、協業プロセスの整備が進むにつれて実務の意思決定は現場へと権限委譲されていくと説明した。すなわち、上位企業で経営陣の関与スコアが相対的に低いのは、スタートアップとの共創プロセスが現場レベルで自律的に回る仕組みが完成している証左であると読み解いた。

 これに関連して、NTTデータの佐藤氏も自社の意思決定プロセスについて補足のコメントをした。同社では特定の最先端テクノロジーを探索するチームこそ経営トップに近い階層で判断を下すが、一般的な事業部とのマッチングにおいては、基本的に現場の判断で迅速にプロジェクトが進行していると答えた。両氏の発言からは、スタートアップのスピード感に合わせるためには、現場への適切な権限委譲が必要不可欠であることが強く示唆された。

NTTデータ 「豊洲の港から」船長 佐藤昌弘氏
NTTデータ 「豊洲の港から」船長 佐藤昌弘氏

技術の「調達」ではなく事業の「ブースト」と人材支援

 オープンイノベーションにおいて多くの日本企業が直面する課題として、ILSの松谷氏は製造業における典型的な失敗例を挙げた。製造業の現場では協業への不慣れから、スタートアップをこれまでのサプライチェーンの延長として扱い、一方的なスペックを要求する「調達目線」に陥りやすい傾向があると指摘した。このような関係性では、対等なパートナーシップに基づく新しい価値の創出は困難となり、結果としてプロジェクトが停滞してしまうことが多いという。

 これに対してKDDIの舘林氏は、自社がスタートアップと向き合う際の基本スタンスについて詳細に語った。同社では技術やパーツを単純に調達するのではなく、市場解像度の高いスタートアップが構築した事業に対して、大企業のアセットをどのように提供し「ブースト」できるかという視点を最重要視していると提言した。具体的には、自社の巨大な顧客基盤を活用した送客支援や、エンタープライズ向けの営業代行など、スタートアップ単独ではリソースが不足しがちな領域を全面的にサポートしていると説明した。

 さらに同氏は、資金や販路以外のユニークな支援策として、法務、知財、経理などのバックオフィス業務を担う専門人材の出向制度を紹介した。スタートアップが自前で採用するにはハードルが高い専門機能を大企業側が補完することで、事業の穴を効果的に埋めることができると強調した。そして、この人的支援は単なる奉仕ではなく、出向した社員がスタートアップ特有の圧倒的なスピード感と隣接領域をカバーする経験を身につけて帰還するため、自社の人材育成にも絶大な効果をもたらしていると結論づけた。

KDDI オープンイノベーション推進本部 副本部長 舘林俊平氏
KDDI オープンイノベーション推進本部 副本部長 舘林俊平氏

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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