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クリエイティビティ再考

イノベーションに必要な「仮説生成型リサーチ」と「情報の統合」――リサーチ不要論は本当か

ziba tokyo平田智彦と大阪ガス行動観察研究所 松波晴人に聞く(前編)

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仮説「検証」型リサーチと、仮説「生成」型リサーチを混同してはいけない

 ziba tokyo平田氏と大阪ガス行動観察研究所松波との対談から浮かび上がってきた、クリエイティビティ・ワークで陥りやすい「3つのポイント」とは、以下の3つである。

  • その1:とにかく顧客調査すればクリエイティブな示唆が得られるというわけではない
  • その2:顧客視点だけでは創造性高いアイデアにはつながらない
  • その3:創造に対する自信を持って、デザインプロセスをワークショップ形式ですすめればよい、というものではない(それ以前の根深い問題がある)

 前編である本稿では、その1、その2を中心に議論された対談の内容をお届けし、次回公開の後編では、その3とまとめを行い、クリエイティビティに関して、2者の見解を紹介したい。

その1:とにかく顧客調査すればクリエイティブな示唆が得られるというわけではない

――近年、デザイン思考や人間中心設計(HCD)が普及し、行動観察などの定性リサーチも多く実施されるようになりました。しかし、必ずしも調査が創造的なインサイトやアイデアにつながっていないようですが、何が問題なのでしょうか。

松波晴人(大阪ガス行動観察研究所 所長):
 行動観察が形としては実施されていても、その本質が理解されていることはまだまだ少ないんですよ。というのは、仮説検証のことをリサーチと思われていることが本当に多い。仮説検証型リサーチは、既にある仮説(考え)を確認するだけなので、それをいくら実施しても新しい視点は生まれずクリエイティビティにはつながらない。イノベーションにつながるような新しい気づき・発見するためには、仮説「生成」型の調査でなければならないんです。

平田智彦(ziba tokyo 代表取締役):
 そうですね、検証型と生成型をしっかりと意識できていないところは多い。たとえば、「それは本当に調べたのか」という上司を納得させるためのリサーチをリサーチとよぶところでは、行動観察などはリサーチではないというんだろうね。誰かを納得させるためのリサーチだったら、その人に合わせないといけないリサーチだから、クリエイティビティという観点では意味が全然ないですよね。

平田智彦平田智彦氏(ziba tokyo 代表取締役)
  愛知県立芸術大学美術学部デザイン専攻を卒業後、キヤノン株式会社にて映像事務器デザインを担当。1989年より株式会社ブリヂストンにてプロダクトデザイン業務、VI計画等に従事したのち、アメリカに赴任し、在任中にzibaUSの業務を兼務。帰国後、ブリヂストンデザインセンターがAXISと合併したことを契機に、AXIS内にプロダクトデザイン室を創立し、多様なデザイン開発に携わる。2006年、ziba tokyoを設立。zibaUSのメソッドを日本で応用しながらデザイン開発全体をリードする組織の代表を務める。

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「リサーチは不要」という議論は、仮説「検証」型だけをリサーチと定義してしまっている

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