プロダクトやサービスが利用される「場」を、引いた視点で見直してみる
横田:
それぞれの業界で主流にいればいるほど、新しい価値、未来の価値に気づかないという現象は、自動車やカメラ以外の業界でもごく普通に生じています。それでは「撮る人がいる」という前提を覆してまで、パーティショットのような「撮る人がいない」カメラの価値にどうやったら気づけるのでしょう。
実は開発者に直接伺ったことがあるのですが、とにかく写真が好きで腕もプロ級の人なんですよ。そんな彼が、お父さんらしき人が子どもを撮影しているところを見かけて、そのお父さんが満面の笑みを浮かべていて、その場面こそ撮ってあげたいと感じたそうなんですね。それで「お父さんがカメラを持たず、カメラは真ん中にあるべきだ」と思ったことが、開発のヒントになったそうなんです。おそらくずっとレンズを覗いていたら気がつかない。カメラがある場面を「引きで見ること」が大切なのでしょうね。