電通CDC×frogによるエクスペリエンス・デザイン──ビジネスを一気通貫でデサインするスキルと組織とは?

 テクノロジーの進歩により、めまぐるしく変化する社会において、企業経営のあり方も変革を迫られている。それは広告やデザインの分野においても同様である。本稿では、2018年8月31日に、AXISギャラリーで開催されたイベント「デザイン×ビジネスが示す、新しい課題解決」のレポートを通して、デザイン思考がビジネスにもたらす価値とエクスペリエンス・デザイナーの仕事を、事例とともに紹介する。登壇したのは電通CDCエクスペリエンス・デザイン部の岡田憲明氏とfrogでアソシエイトクリエイティブディレクターを務めるKat Davis氏である。

[公開日]

[講演者] Kat Davis 岡田 憲明 [取材・構成] 高橋 ミレイ [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] デザイン思考 IoT UX CX デザイン経営

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電通CDC岡田氏が語った「エクスペリエンス・デザインは、従来のビジネスをも拡張する」とは

 最初にプレゼンテーションを行ったのは、電通CDCエクスペリエンス・デザイン部のアートディレクター岡田憲明氏。CDCエクスペリエンス・デザイン部の紹介とともに電通がfrogと業務提携をした背景について語った。

 日本国内最大規模の広告会社である電通には、さまざまなクライアントから広告以外の業務もふくめた要望が来るため、エクスペリエンス・デザインに関わる業務の内容も多岐に渡るものとなる。ビジョンと戦略をクライアントともに立案し、それを実装した上でサービスを作る案件もあれば、IoTプラットフォームを新規で作り、その運用に携わる組織を作ってフォローアップをする案件に取り組むこともある。従ってアートディレクターに求められるスキルや成果物も、従来のものと比較して大きく変化していくこととなる。

以前のアートディレクターであれば、コピーライターとペアになって、そこにイラストレーターなどが加わって制作をしていました。エクスペリエンス・デザインの領域では、アートディレクターがビジネスストラテジストやテクニカルディレクターと共にコアチームを作り、ビジネスの戦略やテクノロジーも考慮したデザインを考えるので、周辺にいるプレイヤーはこちらの図のようになり、リサーチャーやエンジニアといった周辺プレイヤーとともにプロジェクトを進める知識が必要になります。(岡田氏)

電通CDCエクスペリエンス・デザイン部

 さらに従来型のアートディレクターとエクスペリエンス・デザインにまで携わる新型アートディレクターは、役割に応じて共存する必要があると岡田氏は述べる。frogと同様に電通のCDCエクスペリエンス・デザイン部もビジョンとストラテジーを考え、それに対する基礎設計から最後のユーザー体験までを設計することを重視しているからだ。

 そして、電通ならではの強みとして、エクスペリエンス・デザインの領域を、本来の主戦場である広告活動にまで拡張させることを目指している。その事例のひとつとなったのが、JCBのデジタルインターフェイスの改修を行った案件であった。新たなガイドラインを策定してグローバルサイトやアプリケーションを構築し、それらを宣伝するための動画やロゴも制作した。このようなサービスを作るプロセスに携わった経験により、クライアントのコンテクストを深く理解することとなり、結果的にマス広告の受注にもつながった。まさに、エクスペリエンス・デザインがビジネスを拡張するシナジーを構築する礎となったのである。

タイトル

このようにサービスやプロダクトの制作に携わった人が、広告活動を行うのが、これからの勝ちパターンのひとつではないかと考えています。(岡田氏)

岡田 憲明岡田 憲明氏(株式会社電通 CDCエクスペリエンス・デザイン部 アートディレクター)
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業、印刷系会社でデザイン職を経た後に渡米、ニューヨーク大学修士課程修了、米国大手新聞社R&D に在籍し、ヴィジュアリゼーションを中心としたジャーナリズムの研究に携わる。2011年に電通入社、CDCエクスペリエンス・デザイン部において、デザインコンサルティング視点からの事業成長支援や各メディアにおける顧客接点のインターフェイスデザインまで行なっており、電通とfrogのコラボレーションを主導している。武蔵野美術大学非常勤講師。

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