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子供たちに「従順な大人になるな」と教えるデジタル通貨の研究者、斉藤 賢爾さんとの対話

ゲスト:慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員 斉藤 賢爾さん【前編】

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“支援される側がする側”に。福島の子供たちのための「アカデミーキャンプ」の7年間

長尾彰氏(組織開発ファシリテーター、以下敬称略):斉藤さんのこと、普段はサイケって呼んでいるので今日もそうさせてください。初めて出会ったのは2011年4月頃ですよね。僕は「プロジェクト結コンソーシアム」という震災復興支援のプロジェクトを立ち上げ、その活動場所として慶應義塾大学の三田キャンパスのすぐ隣にあるビルを使わせてもらっていました。そこにサイケがいたんです。

斉藤賢爾氏(以下、敬称略):そのビルにはデジタルメディア・コンテンツ統合研究機構という慶應義塾大学の塾長直轄機関がありました。私は博士課程の指導教員だった村井純教授に言われて、その運営委員会の仕事をしていたんですよ。2011年3月の震災後、そのビルには大学の「震災復興連携センター」ができました。

その当時、私はあらゆるところで「福島の子供たちのためのキャンプをやりたい」と言っていて、でも実際に動き出してはいませんでした。彰さんに話したらすぐに「やりましょう」と言ってくれて、そこから始まったんです。活動の名前も、その場で付けてくれましたね。

長尾:小学生を中心とした子供たちが、大学の先生から大学でやるようなことを学べるキャンプをやる、ということだったので「アカデミーキャンプだね」と。

当時の僕は野外教育としてのキャンプをずっとやってきて、もっとアカデミックな学びがあることもやりたいと思っていたんですよ。アウトドアでテントを立てて、ご飯を作って……という活動の中にも、例えば単位を測るとか発酵の過程を知るとか探究できることはたくさんあります。そんなことを見落としているような気がしていて。そこにサイケが現れたので、「それはいい、やりましょう!」と飛びついたんです。

それ以来、最初は静岡で、そして最近ではSFCのキャンパスにある宿泊施設に福島の子供たちを呼んでキャンプをするというのが、もう7年も続いていますね。

斉藤:2011年に小学6年生だった子が大学1年になって、今年はスタッフとして帰ってきました。

長尾:助けてもらう側だった人が助ける側になるというのは、復興支援のひとつの成果です。「プロジェクト結」でも、この間の北海道の地震の後、「北海道に行きたいんだけど、どうしたらいい? お金はどうやって集めるの? 物資はどこに送ればいいの?」という問い合わせが石巻の人から来ました。普段から復興支援をやっている人ではなく普通の人がそういう行動を起こすようになったので、蒔いてきた種に芽が出たんだな、と感じました。

斉藤 賢爾斉藤 賢爾さん(慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員 博士[政策・メディア])
1993年、コーネル大学より工学修士号(計算機科学)を取得。2000年より慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに在籍。2006年、デジタル通貨の研究で博士号(政策・メディア)を取得。同大学院政策・メディア研究科特任講師等を経て、2014年より同大学SFC研究所上席所員。また、2016年より株式会社ブロックチェーンハブCSO(Chief Science Officer)。2017年より一般社団法人ビヨンドブロックチェーン代表理事。専門はインターネットと社会。慶應義塾大学環境情報学部講師(非常勤)。早稲田大学大学院経営管理研究科講師(非常勤)。一般社団法人アカデミーキャンプ代表理事。一般社団法人自律分散社会フォーラム副代表理事

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